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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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震災の話・・・言葉を刻むのであれば、震災のために悲惨な目にあったと思っている、承認された大多数の人間に対してではなく、震災のおかげで、嫌な人や嫌な組織や嫌な場所が壊滅してくれたとほくそ笑んでいる、公にされることなく隠蔽された、小さな声なき声を拾い上げるべきだと。最近の東京カワイイTVは、また面白くなってきた。先々週の、ハンドメイド、クラフト特集は、これからの人間界の歴史では、工芸、というのがクる、と思っている小生にあっては紹介するに遅きに失した感があるが、今日の、スチーム・パンクの紹介は勉強になった。工芸=アナキズム論は別稿に譲るとして、スチーム・パンクというのは、19世紀産業革命期における蒸気機関の機械仕掛けの勃興に案を得ており、思えば日の本ではジブリやナディアやジョジョといったアニメや漫画で先行で形成されたジャパニーズ産業革命観といったものが既に四半世紀前には醸成されていたが、そこで見られる機械仕掛け風味や服飾を、現在、ファッションとしてハンドメイド界の鬼才たちが落とし込んでいるのだった。19世紀ヨーロッパというのはいまだに現代に対して生きる問題意識を突きつけてくる革命と産業の世紀であったのが、懐古的ファッションとして解消されるのはいささか寂しいが、元よりファッションなので仕方がないのかもしれない。恰好よい。

なにはともあれ、王道なきロック史「悪趣味の系譜」編を再開することにする。再会と云ってもどこまで進んでいたのか、進むものなのかも判然せぬままに、まずはピーター・ゲイブリエル(ガブリエル)の動向を聴くことにする。プログレッシブ・ロックの人やバンドにおける、80年代パンク期の過ごし方というのが、この、悪趣味の系譜における一つの潮流をなすだろう。キング・クリムゾン後期やイエスの支離滅裂分裂期など興味をそそる音楽性の変遷があるが、思えばブリティッシュ・プログレの中でも当初から違和のあるとんがりを聴く者に突き立てていた感のあるジェネシスから、パンク期にあってソロという形に天心転身したのがピーター・ゲイブリエルであった。悪趣味の系譜の対象としようとしているのは、要領よくいえば、70年代後期から80年代中盤あたり、その発生派生原因を教科書のようにプログレ反動ということで済ませるつもりもないがけたたましくあられもなく肉腫のように盛り上がってきた、モダン・ポップ(モダン・ロック)やテクノ・ポップ(エレクトロ・ポップ)といったものに焦点が合わされるだろうが、この、ピーター・ゲイブリエルという人はそうした流れとはまた逸脱した、むしろジャズにおけるフュージョン、ワールド・ミュージック、アフリカへの回帰といった概念を専ら考え方としてのみ援用しつつ独自の調性の音楽をロックの文脈で開花させた。先行きの暗い仕組みの音楽から、どこか19世紀の白人によるアフリカ探検といった楽観的文明論的視座から抜け切れぬ博物学的アフリカ民族音楽が、使い込まれて透明度と艶を増したムーグ・シンセできらびやかに降り注ぐ、この当時の、ワールドワイドという感覚を知らしめながら、暗黒のヨーロッパに寒々しいが小さく熱ぼったい曙光を煌めいてもたらさんとしてくる、湿度の高い歌唱と、地鳴りから地面が消えた轟きの打楽器群、神殿が音も無く崩壊するピアノ、ファーファー云う、心休まる懐古的シンセ・・・あらゆる矛盾と欺瞞を抱え込んで、尚歌われるからこそ、いかがわしい。アフリカへの直視によってブルースの約束から解き放たれた時、気ままに転調を配置する劇的構成となるところがプログレでありつつ、世俗のタルコフスキーのような情緒を持つポップスのまとまりも結構する匠でもある。

jerry marotta:drums, surdo drums, percussion
ekome dance company:ghanaian drums,
peter gabriel:vocals, surdo drums, linn programming, cmi, prophet,additional,piano,backing vocals
tony levin:bass,stick, fretless bass
larry fast:moog ,prophet, moog brass,moog bass,electric percussion
david rhodes:guitar,backing vocals
john ellis:guitar,additional guitar,backing vocals
jill gabriel:backing vocals
david lord:poly moog,prophet,piano
stephen paine:cmi
peter hommill:backing vocals
morris part:timbales,percussion,traditional ethiopian pipes

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