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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「primus/frizzle fry(2002)psr 0004-2」



貧相にべたつくクサクサ感は日向の残雪のようにすいすい氷解したとはっきり言えやしないクサクサ感の変態は否めないにしても物忘れのように一呼吸置いた感あり、思えばさながらいかついばかりであった殺伐なるイラつきも足の踏み場をなくしてきょとんと滑落するぞっとする恐怖へとすげ替わる事に及んで、常に冷たい底辺とのつま先立ちではあった怒気の振幅性活発から、さらに腹這いになって底辺を彷徨う呆けの怖気立ちへと遷移しつつある…そして頭の悪い弱者をぶん殴りたい邪も生ずる、人間だから、という保留無しで。なけなしの、本当に何にも依拠できぬ真空へと投げ出され、あるのは己の、こわれものの信念のみ、社会的承認はおろか神学的価値すらも期待できぬ荒唐無稽に投企する虫唾の走りが深刻と底抜けの呆けとのあられもないだらしなさへと至り、処構わず当り散らす怒気の後ろ盾なぞ木っ端みじんになる前に無化せられ…熟れ過ぎた柿が線香花火の末期の姿、薄皮一枚下は繊維が溶けてどろどろに、ぼうっと火照るようにしてぱんぱんに充満して透光している…皮を剥こうと包丁を入れるとぐちゃぐちゃにぶしゅっとなるから手が付けられず、持て余す。異種の手の付けられなさ、従わなさ、扱い辛さ感が尖るふなっしーの歌がやはり、ちゃんと聞くと、きちんとロックという音楽の出方が分かっているハードロックであった。もうたいていの感情はなし崩しに骨抜きにされる麻痺に襲われているが…それでもくっといきり立ったのはある古本屋での事…ベンヤミンのパサージュ論の全集の一巻をつまみ読みしていると続きが読みたくなったので、全五巻揃っているのを小生が知っている古本屋に行って、別の巻を一冊レジに持っていくと店主が、これは揃いで買ってもらわないと売るわけにはいかぬと頑なな事をいう。特に五冊まとめて紐でくくってあったわけでもないのに客に恥をかかすとは…機転が利かぬ愚鈍ゆえその時はそうですかとすごすご店を出たがよく考えるといかがわしい義憤と綯い交ぜになった異議が頭をもたげ…ベンヤミンという人は形式的には論文の形をしたものも書いているが(その内実はまさにアカデミックへの暴力的な書きぶりだが)寧ろ全体性への奉仕を批判し些細な咄嗟な社会的形象をスパークさせる断章、断片、メモランダムでの稲妻=認識こそ本領であろう…それを全巻まとめて買わないと駄目などというのは…ベンヤミンの思想を分かって売っているのか、そんな売り方がともすれば本屋としての矜持を堕落させる可能性を自覚しているのか、いや、しかし…パリでの渾身のパサージュ論執筆に没頭するあまりぎりぎりまでパリに滞在したがためナチス侵攻から免れるに遅きに失し、山脈を超える途中でゲシュタポの影が伸びるのを察し、ゲシュタポに捕まるを潔しとせず自裁したこの20世紀を貫く思想家の残した草稿の散逸を何とか防ごうとしたバタイユやアドルノやその他多くの人々の尽力を思えばこそ、全巻まとめて買うのが正しいのか…異議を吹っかけようと一瞬憤ったが結局、萎えて、翌日、おめおめと全巻まとめ買い…いい本があるこの古本屋と事を荒立てる勇気もなく…剥き出しの爬虫類が革靴の底で踏みつけられ内臓がはみ出ながら終わらない断末魔あるいは呪的読経を歌う…切れ上がって狂ったような精確のリズムが呪的祭りを決して終わらせない…生産体制との相克が野生でもあった、体制との雑種ながらも親族=媚びにはならぬサイケデリア~ガレージの血が天然としてハードロックへと土俗するかしましい市井の獰猛音楽である。ハードロックの一つの精華である。サイケデリアの本質としての飛び火がザッパからヘンリーカウへと飛び火、精密機械が汚れた土から播種されるように発芽する土から生える毒牙が行方不明になった時、葬儀後にひょっこり通りの角から現れてもおかしくない、腐ったどぶろくが駆け込み乗車でいきり立つちんどん屋が暴道する狭い車両の中で骨と殻と臓器のぶちまけ、怒り、神輿を高下駄にする奮戦と闊歩が緑色と黄色の血をとめどなく流す…ねじ切られた真鍮の涙。元に戻らない壊れ方が確固としていて凄い。うがい用のコップの中に毛髪が入っていたがためにうがいした時に喉に髪が絡まる特級の不快である。

tim alexander:herb, drums
larry lalonde:electric guitar, acoustic guitar
les claypool:electric bass, electric fiddle bass, string bass, vocals
 

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