忍者ブログ
 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
[123][122][121][120][119][118][117][116][115][114][113]

黙祷 2010年2月21日 秋山忌

 俳優、藤田まことの死が、こらえきれぬほど悲しい。大学の研究室を選ぶ時に、教授の顔が藤田まことに似ているからという理由で選択したくらい、好きだった。(しかしこのことは、小生の藤田まこと好きを汚すこととなった…当たり前田のクラッカーだが、その教授と藤田まことは、似て非なる者なのだ…)必殺仕事人やはぐれ刑事純情派だけでなく、同時代ではないので後追いの勉強ではあるがビデオで「てなもんや三度笠」もしばしば見ていた。
 しかし中でも池波正太郎の剣客商売の秋山小兵衛役は、脂ぎった柱のような顔立ちながらよう枯れて渋かった。いずれの役でもイヤらしさが鼻につく高橋英樹やマツケンなんかの見た目にも派手なちゃんばら剣劇を避け、一撃必殺で事を済ます美意識というのが水際立っていた。渡辺謙主演の仕掛け人藤枝梅安や藤田まこと主演の必殺仕事人および剣客商売、いずれも池波作品であり、始まりが即ち終わりのような居合いの美に貫かれている。池波氏の文体も、こざっぱりしていて、淡々と薄味ながらダシの組み立てが鮮明な作り。鯛の昆布しめなんぞは2、3切れ食して清酒を喉に注げばそれでよし、とする引き際をわきまえた文体であるからして、一度読んだら再びは読んではならぬ凛然である。あるいは、噛めば噛むほど味が出るがその味はいたって純一なるスルメの如し。飽き易い、という難点もあるが…。
 よって、スパイスやフォンなど味の組み立てが混沌とした重層的な西洋の文体とは真っ向から切り立つように異なった、潔い日本人の文ではあった。そんな原作の一回性を具現化したのが、藤田まことの、古木がとことん磨かれて艶っぽくも見えるが芯から枯れている穏やかながらも厳しさが屹立した静けさであった。特に剣客商売で、秋山小兵衛役の藤田まことが、実にうまそうに湯豆腐やどじょう鍋なんぞをつつく様が、心に滲みました。ご冥福をお祈りいたします。

 またしても青春リアルや東京カワイイTV、めざせ会社の星やカウントダウンTV、無酸素でのエベレスト登山をネットで中継し集金する登山家なぞを、スペイン産赤ワインで頭痛の半鐘をとめどなく鳴らしながら、ササミの燻製を噛み噛み、ドロついた目つきで怒りつつ、見て、無駄に、夜のかけがえの無い時を使い果たした。

 そんなこんなで翌朝まで続いた頭痛をこらえつつ、茶道の上田宗箇流の茶会に出席するべく、申し込みの書状を筆(ペン)でしたためた。なんでも上田宗箇流が新しい茶室を建てたとのこと、それに託けての銭集めという目的は明白であるが、どの程度の道具なのか創意なのか、茶人として一度確かめんがためである。
 最近の小生は墨蹟の類にも色気を出し、唐や宋代の楷書行書や空海や禅僧の墨蹟なんぞをつらつら眺めては様々な書体を愛でている体たらく。即席で培われた吾が渾身の破れかぶれ筆法、如何に受け取られるか、楽しみではある。これは嵌まりそうだ…。その、小生の初の書は、いずれ茶会記で公開します。
 朝っぱらから盲滅法に書に全力を注ぎ、かつ、藤田まことの死が、こらえきれぬほど悲しいので、こたびの王道なきロック史は休載します。来週こそは、10ccについて考察したい…。書くことはたくさんあるのだが、自分の体力気力の無さが、本当に情けなく、恨めしい…。

拍手[0回]

PR

この記事へのコメント

Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
管理人のみ閲覧できます
 

この記事へのトラックバック

トラックバックURL

忍者ツールズプロフィールは終了しました

HN:
々々
性別:
非公開

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

ロック史最新記事

(03/03)

ブログ内検索

最新トラックバック

最新コメント

忍者アナライズ

Copyright ©  -- 仄々斎不吉 --  All Rights Reserved

Design by 好評ゼロ / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]