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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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初夏の鳥取野点ツアー 茶会記

日時 2017年5月27日 土曜日
場所 鳥取市内
亭主 小生

第一席
場所 鳥取砂丘付近 砂浜
茣蓙 一畳分が二枚
客  讃岐国住 丹後国住 因幡国住

茶箱 緑色人工皮革貼化粧箱

席上揮毫
水滴 砂浜にて拾った貝殻 波打ち際にて海水を汲む
硯  砂浜にて拾った石
筆  かな文字用
墨  呉竹精昇堂
海水で墨を擦り…短冊にて亭主が発句奉り、砂に立て置く
「砂ならぬ海もありけり御茶乃泡  黒曜」

振出 図星形アッシュケース
菓子 明治屋ゆかり店製 金平糖 紅白中、白のみを精密ピンセットにて菓子器に移す
菓子器 日露戦役戦勝記念 軍帽と歩兵銃の図蒔絵紙胎朱塗盃 
    蒔絵にて一首「国のため尽くせり犠牲も・・・・・逢ふぞ嬉しき故郷の人」
    (「・・・・・」は読解不明)

茶入 アルミニウム製抹茶缶 ラベル剥がして
仕覆 手榴弾形
抹茶 宇治 至宝の昔
茶杓 黒木 亭主側先端を亭主手ずから小刀で尖らす
茶碗 焦げ黄瀬戸釉割高台高坏形 銘「明星」
茶筅 一二〇本立て
茶筅入れ 亭主手製 紙胎帯巻上にチーク風ウレタン塗布 カルビー製蓋付 裏に千代紙貼付
水筒 木目調蓋付ステンレス製に湯を入れて
水指 ボルビック350ml

程よく曇った青天なれど…初夏の日本海は未だに荒く…むしろ刺々しい程の…人の声を掻き消す波音…そして、執拗な悪意すら覚える、絶え間なく体に吹き付ける潮風の無情といったら…此処で茶入の蓋を開ければ確実に、どんなに亭主が身をかがめて風から守ろうとしても懐まで風の舌が抉り込んで来ては虎視眈々と抹茶四散を狙う潮風の餌食になるは必定だが茶の湯故開けない訳にはいかず…案の定、開けた途端、抹茶がドハっと撒き散らされ…否…斬られた、と云うべきなのだろう…血飛沫ならぬ茶飛沫が小生のズボンの太腿に扇程の面積に散り付けられ…慌てて其の茶飛沫を拭ってしまった狼狽の態は、まだまだ亭主としての未熟を露呈したものとして反省点に数え挙げられるとして…風の一瞬の隙を衝いて茶碗に抹茶を入れるも、茶杓に盛った茶の半分以上は鳥取の浜風へと散逸したのであった。自然の中で茶と親しむ、などと云う悠長な風流気分に喝を入れられるかのように、無情なる自然が容易ならざる対決姿勢を鮮明にして来た、のっけから挑戦的な野点となり…人間の営みに頓着する筈の無い自然へのたじたじの体で自ずと成果の挙がる茶会であった。吹きすさぶ容赦ない日本海の波風の中で、ただ一つの句が立ち、ただ一つの碗中にあえかなる茶の泡が点つ…願わくば此のはかなき茶の泡、此の数奇があの日本海の荒波程に溢れ出さん…ぎりぎりの一座建立…短冊はそのまま、砂浜に刺し置いて、次の茶席へと旅立つ…。


第二席
場所 湖山池 青島 展望台の、屋根付きあずま屋の椅子に腰かけて
客 同上

墨蹟 落書「暴走」
   (あずま屋のコンクリート製床に、地元マイルドヤンキーが引っ掻いたと思しき…)

菓子と茶 同上
釜 チタン製カップ
風炉 コールマン製ガスボンベと着火装置

展望台と云いながら周囲を小高い森に囲繞されて眺望は望めないあずま屋だが、其の閉鎖性故に、お誂え向きの、公共且つ天然の茶室ともなり…第一席の水筒の湯ではやはりぬるかった不如意を解決すべく、風が少ないのを見計らって湯を沸かせる、静かな時間…折しも、床に刻まれた不穏なる墨蹟「暴走」を見おろして鑑賞しつつ…虫の音と鳥の囀りが静寂を際立たせる。
次の茶席のため、水筒の余ったぬるま湯を、ガスボンベで沸騰させて、再度水筒に戻しておく用意周到自画自賛。


第三席
場所 湖山池 青島側 青島大橋の近くの、葉桜の木の根元
茣蓙 一畳分が二枚
客 先述御三方に加えて、御夫人御二方

菓子と茶 同上

席上揮毫
硯 池の岸に転がっていた、ちょうど硯形をした石を拾って、直接、池の水を汲む
池の水で墨を擦り…
短冊にて亭主が発句奉り、客座にて回覧 「池の中にこもる緑や虫の音  黒曜」

掛け軸 蟹の図 御客の画 亭主の表装 
    亭主の発句後、残りの墨で御客に画の落款を所望し、快諾。葉桜の枝に掛ける

再度 菓子と茶 同上

今回の野点茶会は、本来なら二月に行う予定だったが…折悪しく大雪に見舞われて交通機関が遮断された故中止に相成り…其の後、客の御一人からの文に、其の未会となった茶会の後に舌鼓を打つ予定だった山陰の蟹を惜しんでか、蟹の画が添えられていたのだった…其の出来栄えと、お流れとなった蟹鍋への執着と云うおかしみを讃えて、小生は手ずからに、其の蟹の画を表装して掛け軸に仕立てたのであった。しかし、其の画は元より手紙の主からすれば手すさびの挿絵に過ぎなかっただろうから画竜点睛を欠いて、落款が記されていなかったので、表具として締まらない感じは否めなかった。そこで、其の御流れとなった真冬の茶会の雪辱の意味もある此度の初夏の茶会の場で、此の画に落款を所望したいと画策していたのであった。しかしながら、一度中止となった茶会を髣髴とさせる、しかもわざわざ表具までされた蟹の画を此度の茶会で持ち出すのは未練がましい無粋へと堕して茶会を台無しにする可能性も高く…従って、茶会の流れの中で時宜を得たら御披露目せんとして茶箱に其の掛け軸を忍ばせてはいたが…逆を云えば、茶会の流れにおいて此の掛け軸をわざわざ持ち出すのはふさわしくないと小生が判断したら其のままお蔵入りとすべき、優先順位の低い代物だったが…事此処に至ってまさに運よく機が熟し、機を逃さず御披露目の本望を果たし得たのであった。夏に向けて濃緑の葉桜の木陰が頭上を覆って自ずと天然の開けた茶室となり…其の枝にかけた掛け軸が、風に揺れる風情も新しく…其の先には満ち満ちた池の水が広大で…人事景趣の交感した、寛いだ雰囲気に、一座建立相成る。暮れかかって金色に輝く池の水面に風が渡り…宴の夜へと向かう。

反省点としては、抹茶がダマになるのをおそれて、撹拌を入念にやり過ぎたがため、些か茶がぬる過ぎたように思う処である。適度な撹拌時間の練習が必要だろう。更に、茶会中に茶箱が開きっぱなしだと其の場が些かごちゃついて見えるので、必要最低限を除いて極力閉めておくべきであったと反省する。

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HN:
仄々斎不吉
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非公開
自己紹介:
 数寄の天下を獲らんがため号するは、仄々斎不吉。

 三千家(裏千家・表千家・武者小路千家)及び諸家茶道流派に例外無き教条点前に豪を煮やす一方、近代数寄者(益田鈍翁、高橋掃庵等)以上に見立ての幅が広がった現代茶会に更なる侘びの新風を吹き込むべく研鑽を積む。

 利休の、無産有産といった階級をも併せ飲む侘びの骨頂に根ざしながら、そうはいってもありがちなブルジョア金満足だけは厳に慎みたい労農茶人。

 草木に臥してなお風雅を愛でる仲間であるために、茶の湯だけでなく、路上観察、テレビ跋渉、音楽及び納豆評論、 30人31脚批判もこなす趣味人にして愛陶家。 猫舌。


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