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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「the police/reggatta de blanc(1979)75021 3312 2」



相変わらずどこぞの軒先に下げられたまま人知れず年から年中風が吹けば鳴り続ける風鈴による耳障りに苛つきを嵩じさせるのに乗じて当てのない怒りを先鋭化させる一助とするに如くはなく、そうした便乗に頼らざるを得ないほどの衰弱が意識下でますます露顕するのであって、細君は友人とお茶しに出掛け、風に吹き回される洗濯物の安否を擦りガラス越しにちらちら確認しながら、囲碁トーナメントを消音垂れ流しで見るともなく…風がどふっと来て身構えるのにワンテンポ遅らせて風鈴がリンリンリーンリン喚き散らし、堂々巡りだが音源が分からないから対処しようもなく、しかしこの場を去る甲斐性も無いから忸怩たる思いを燻らせつつ冷えたほうじ茶を啜るも、風鈴が止むはずも無く、イラツキと思想が、地鉄と鋼の合わせ技で硬軟の長所短所を補う鍛刀のように先鋭化すればよいが、また風鈴が、頭が締め付けられる憎悪を幾ら伴なおうとも、風鈴が鳴り止まず、周囲をぶち壊したくなるがそれをやれば片付けるのは自分であると振り返ると、いつの間にか井山棋聖が勝者となって感想戦している。階下の莫迦犬が鳴かないだけまし、と考え、ポリス。

風が止んだ。今の内である。軟弱白人ポップの、世を白ける余裕をかましたプログレ上がりの…と云えば口が悪すぎるだろう。濁りと錆のジャギジャギのこれ見よがしな荒みの主張を基調とした60年代サイケパンク/ガレージパンクとは趣を異にする叛旗やよし、つるつるした石油製品のてれてらした文明のジャンクを消費し尽くす空しい、冷めた、最早遊びも無い、見返り無き反抗をもよおした70年代終盤のパンクに吊し上げられるハード/プログレ継承者、という相克に活路を見出したモダンポップ/モダンロックは大上段に人目につかぬ際どい音楽性の追求へと、隙間の汚れを落とすカッターナイフのように実用性を醸しながら、歯コボレや錆に見舞われたら折って捨てるを繰り返す、継承性を断絶した新しさであるから本来最も先鋭的な分野たりうるがしかしその趣味性の高さからか隙間産業的地位を免れぬ、といった指摘も、とうに無意味にして、既に地下に潜伏して久しいロックにとって、地上と市場を経世済民する、沈黙の気不味さを埋めるためだけのメジャーと呼ばれるコンビニ音楽とは決定的に断絶した事も、指摘するまでも無い常識である。ちゃんと音楽を聴きたい人は地下を訪れて聴くし、そうでない人は地上の音楽に満足するという平和的棲み分け。こういった事を以前にも書いた事があった。プログレもポップも南米音楽や黒人音楽といった、ロックの要素を成すあらゆる音楽が内面化されているこの音楽がポリスと名乗った処で目くじら立てて義憤する土壌は皆無にして、云うべき言葉も消尽している。

と、ここで、風に煽られて小生の服が、ベランダの、乾燥わかめみたいなのと埃と砂と人毛と昆虫の死骸で小汚い床に落ちてしまった。すぐに拾い上げて手で払ってみるが、見た目には綺麗であっても、洗濯という事業が根底から台無しにされた感はどうにも払拭し難く、汚辱に塗れてそれを再び洗濯機に叩き込んだ。見切りをつけて全洗濯物を室内に引き上げた。

テレビスポーツ教室「ボルダリング」が始まった。ふかふかのマットが敷かれた人造の岩で指定された凸凹を指定された手順で上る…ハイジ(8歳)とペーター(11歳)が、手を滑らせたらガチで死ぬしかない断崖絶壁を、はぐれた子山羊を連れ戻すため命綱無しで上っていたのを熱く思い出すのに比べて、ボルダリングとやらの、小汚い清潔さが我慢ならず、だいたい、既に、テレビで映し出される人間の笑顔の全てが嘔吐を催すほど気持ち悪い。風鈴がこめかみにぎゅうぎゅうめり込む。地方の観光列車や観光特急などが、絶景スポットと云われる処で、駅でもないのに数分間停車し、写真を撮らせる、という気配り/おもてなしの愚劣にも嫌気が差す。「絶景でござい」「昭和レトロでござい」「エロでござい」などと、顔剥き出しで真正面から云われて興を催す人間がいるのだろうか。この国の侘びと寂びはどこへ行ったのだろうか。興醒めである。頭脳警察(ザッパの歌詞を典拠とする)などはまだ体制を揶揄する体力があったがポリスにはそれを期待できない分、予想だにできぬポップ楽想をしんみり楽しめるし、演奏はしかし、骨太にしてしなやか、創意に満ちた演技を連発する段違い平行棒の体操選手の肉体のような音楽である。簡単にやっているように聴こえるが極めて困難な音楽をやっていると思っていい。基本的な事ほどその会得は難しいものだが、基本的でないのに困難な音楽である。時折聴こえるレゲエ趣味、ワールドミュージック趣味はこの時代のご愛嬌。

くだらない事なら幾らでも書ける、という事ほどくだらないものはないが、無駄事が過ぎて本題が走り書きになる本末転倒であっても何とか前に進めたく、具体的な事例を豊富に上げる親切こそ遂げられねど、理論のみを抽出するだけでも、あとは分かろうというものである。心配りの無い割り切りが言説において権力を持つものならばこの際、躊躇する暇はない。いくらでも疑問符が付けられると思うけれども今は辻褄を合わせて正解の答案を作成する暇がない。読者各位において再構築、再批判するためのたたき台になればよい。

※思想とは⇒外部が己に直接与えた体験に立脚しない知を意識化した意志。すごく大雑把に云うと、例えば、日本に住む日本人が、アフリカの飢えた子供たちを救いたい、と考える事など。

※思想的善とは⇒己の体験に立脚しないが、その発露としては、既成的に承認された概念即ち情報を批判するから、己の身を危険に晒しながら意識的に意志をする事。
 ①思想的善における社会的善の事例:多数派批判。権力批判。全体主義批判。諸芸術。
 ②思想的善における社会的悪の事例:テロリズム

※思想的悪とは⇒己の体験に立脚しないが、その発露としては、既成的に承認された概念即ち情報を鵜呑みにして無自覚に内面化するから、己の身を安全な言説にかくまいながら無意識に意志する事。
 ③思想的悪における社会的善の事例:生命の原理。国家の原理。権力の原理。社会の原理。市場の原理。労働の原理。教育の原理。家族の原理。多数派への同化。全体主義。
 …卑近な具体的な事例としては、直接的に日本軍から占領、虐待政策の被害を受けた訳でもない、戦後生まれの若い韓国人が、体制から施された教育のプログラム通りに反日思想をたぎらせて声高する、人間の意志と価値と誇りを自ら貶める惨め、あるいは、ナチスの幹部の子孫が、若いユダヤ人の集団(ホロコーストを情報として知っているだけで体験してはいないくせに)に取り囲まれて吊し上げられ自己批判を迫られる、教育と情報の悪の結果…等々。
 ④思想的悪における社会的悪の事例:犯罪

当面4つの位相を取り上げたが、現実は善悪に割り切れるものでもなく、善悪の移行過程/共存関係にある。思想と社会も移行過程/共存関係にある。たとえば近現代の市民革命は、思想的善から思想的悪への移行過程として捉えられる。②→①→③。社会現象をとらえるのにこの4位相の組み合わせに強弱の調子を付け合わせればある程度合点がいくと思う。そしてこれらの組み合わせによって章立てされる項目に社会現象を当てはめていく作業をすれば、項目は存在すれども、それにあてはまる実際の社会現象が思い当たらない、空白の項目が現れた時、そこに、何らかの突破口=突破項があるだろう。

もっといえばこんな分析も小賢しいママゴトだと思っている。鑑定団見ていると…明治の道具鍛冶の名工、千代鶴是秀の鑿一式を買うために、これまた大工の名棟梁、江戸熊は自分の娘を身売りして手に入れたという…是秀の凄まじい仕事ぶり、技の超絶を目の当たりにした弟子の一人は精神錯乱して自殺、是秀ほどでないにしても腕がよく跡継ぎとして期待された息子も己の限界に懊悩して投身自殺したという…分かる奴には言葉を尽くさずとも分かる事だし分からん奴には何言っても無駄だろう。承認範囲内の心理学的飼い葉桶他者論/コミニュケーション論に今更拘泥するつもりはない。ただし、人に云うべき言葉が無くても、人の話は聴きます…ただ、聴くだけであるが…風鈴いまだ止まず、むしゃくしゃが最高潮にぎり絞られて、今、入力している液晶画面を拳でぶち抜きたい衝動に駆られる。尻のみにどぎついデザインのクッションを当てて背筋伸ばして上体をおこして半跏に組んだ脚は赤熱した炬燵の中。

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