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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「frank zappa and the mothers of invention/one size fits all(1975)rcd10521」



今だに社会社の工場内では着用を義務付けられているだろう帽子capの縁の裏にはまさしくone size fits allと小さくプリントされており、その帽子を被った時にボンの窪に自ずとあたる部分の、帽子の円周サイズを調整できる伸び代乃至は縮み代の機能を表示しているのであるが…小生の全音楽史の総論を以て想起される慷慨と感慨のあらましには、ザッパ&マザーズの最高傑作の一つであるこのアルバム「one size fits all」が燦然と屹立するのであった。邦題では万有何とかの法則、というそれはそれで秀逸ではあるが原題に比べて無理がある感は否めなかった。世襲政治家と経団連が結託した封建制に甘んじる苦しい圧政の現在…報われない労働を強いられる小生にとっては作業帽の裏にone size fits allとプリントされている事にどれだけ激励された事か。隠れキリシタンがマリア観音を懐中する、何ものをも信じられぬからこそ神を信じる信仰の気位…ルネサンスとは、およそ人間の自然状態…仁義なき権謀術数と人の弱みに付け込むのに長けた経済ヤクザ=禿鷹的合理主義、そうした世情や経済と渾然するゆえにぎゅうぎゅうに異次元へと、即ち人間の惰性=資本主義とは断絶するように高まる信仰と芸術であった西洋ルネサンス…虫唾が走るほどの政治的胆力と、あらゆる学芸に秀でた上で事を為す奔放であるルネサンス…ロック音楽においては唯一のルネサンス的巨人であったザッパの作品群=ザッパ山脈においても最高峰に位置する本作は何において最高峰なのか、などは云うに易しいがそれら一切の言説が空しいだけだろう…ロックにおけるルネサンスとは言うまでも無くサイケデリアの本源と関係するのであり、ルネサンスがギリシャ古典を召喚してこそルネサンスであったように、ロックにおけるルネサンスとはサイケデリアを召喚してこそ、である。ここでいう本源サイケデリアとは何か、については小生の過去の論考を参照頂きたい。云うまでも無く本源サイケデリアを構築するのがザッパの音楽であるのは云うまでもないことであった。芸術における最高峰とは畢竟最底辺=基底と同義である事は最早、いまだ情報へと消費されはしないが唯一凡俗へとへりくだった権現ではなかろうか。人生において思想が遂に意志へと実用化される時、それは凡俗へと成り下がるのへ表裏をなしつつ、雪の結晶のようにその表裏の間に深みは無い。インカの薔薇。これほどまでに美しい楽曲…失墜の限りで痴呆する弱体の小生にあってみれば最早これに太刀打ちする気力も憔悴してなお、噎せ替える疼きが蜷局巻いて沸騰する序盤から、苦みとノリを滔々と抜け駆けする不思議旋律の歌唱を経て、ザッパのギターはいまや雪舟の筆使い、空間に時間を悠々墨絵する…山水の境に遊びながらも…志村けんのバカ殿様的オチで〆る悪趣味を厭わぬすかしッ屁で、これまでの業績を一挙に灰燼に帰するとち狂った圧巻は残忍と獰猛が功利する無残なマキャベリズムの倒錯的芸術態である。芸術態における功利とは無駄へと志向する。雪舟などの室町文化は西洋ルネサンスとほぼ同時期であるがそうした概念的関連を棚に置いて専ら音を聴いただけでも感得されるのは…雪舟の山水長巻の筆致を見ても立派に「荒」んでいるし、ルネサンスとは政治的に荒みの絶頂、サイケデリアも一言で言えば荒みの一表出であって…ザッパが雪舟するサイケデリア性の荒みであってもいいだろう。西洋に天才あり、東洋に達人あり、…大洋を分かつアメリカ大陸の深部においてザッパ(雑派)が天才と達人の境涯に遊ぶギター…。それにつけてもジャケットの図案もまた至宝である。毛深い掌が摘まむのは極太短小の葉巻…その紫煙の彼方、炸裂する銀河、ぐりぐり独楽にされる土星、奇怪な天文学図、まばゆい恒星の光から照明の力を奪う暗黒の漆黒の宇宙に浮かぶ真っ赤なソファ…ただただ美しい。

frank zappa:all guitars, lead vocals on …(省略)
george duke:all keyboards & synthesizers, lead vocals on …(省略)
napoleon murphy brock:flute and tenor sax, lead vocals on …(省略)
chester thompson:drums;gorilla victim
tom fowler:bass
ruth underwood:vibes, marimba, other percussion
james "bird legs" youman:bass
johnny "guitar" watson:flambe vocals on …(省略)
bloodshot rollin'red:harmonica when present

(ライナーには使用スタジオやミキサー、エンジニアたちもきっちり記載してあるのでザッパの考えからいえばそうした人々もここできっちり記載すべきなのだろうが小生の時間の都合で割愛させて頂く…)

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