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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「kraftwerk/the mix(1991)tocp-6804」



はあーこの冷めやらぬ感動、熱く深い安堵の淵に沈降するような…変な、時ならぬ胸騒ぎ胸苦しさに木の芽時の魔も合わさって捩じれば捩じる程ぎゅんぎゅん熱を帯びる出口の無い生活苦の胸苦しさに襲われていたのが…先ほどの鑑定団の充実に…桃山の古唐津向付五客揃いに、仁阿弥道八の手捏ね急須九種揃いと、眼福の栄に浴する事しばし呆然で心が痺れるのであった。古唐津向付の高台脇の、何とも甘い枇杷色の煩悶…高台内の土味のチヂレと云ったらたまらないし、屈託ない鉄絵の、幾何と草文が区別されぬ伸びやかな筆致が鮮烈で、固く忘れがたく…、道八の、絵図のみ残っていて永く幻とされていたらしき急須揃いのうぶだしの歴史的重要性もさる事ながら、長次郎、織部、光悦、乾山などが自由に発芽する飄逸味と、際立つ技の薄造りがへうげでないにしても雅な創意の気骨を芬芬たる形にしており目が離せなかった。その記憶の毒気に当たってしまい、生活に潜む魔の誘いも落ちたか、動悸のような胸苦しさがいつのまにやら消散しており、今は確かな器物が放つ放射能にしばし当てられっぱなしなのであった。クラフトワークの、70年代、80年代の古典的代表曲を、90年初頭に喧しくなったハウス風に抜け抜けとリミックスしたものである。電子音楽が、テクノが、サンプリングが、といった主語はこの際どうでもよいだろう。クラフトワークに限らず電子音楽の極右(仮にシュトックハウゼン(独)をその魁としよう)が、ついには音楽の空間性を否定する運びなのに端を発してクラフトワークもそうした、音楽の空間性の否定への一過程なのだとしたら、この道標に如何なる意味があったのだろう、と推察する。石炭工業が石油工業の土台となったかのように…。音楽における空間性とは響きの事であり、発音源が世界を物理的に介在させて聴取者に届く仕組みの事である。電子音楽の極右は未来において、音という感覚が、世界や空間を媒介させずに直接、脳神経に連結させる、その祖形であるだろう。その時、音が感覚の海へと溶解し、音を聴く、という概念も消え失せるだろう。そうした過程においてこそ聴き捨てならぬのは、例えば、ドラムやベースといった生音を電子音へと還元していた作業に白けるかったるさが生じた後、シンセ上で幾らでも出せる電子音へと普遍化、抽象化する全体主義的過程である。鶴亀算(具象)から連立一次方程式(抽象)へ、という移行の事でもある。連立方程式があれば鶴亀算は無用の長物なれど、人間には好み=数奇というものがあるものだ。イヤホンやヘッドホンで聴く、という所作も、この過程における、泥臭い一段階と見なされるのだろうが、…ちなみにここで電子音楽の極左として想定しているのはフランスのピエール・シェフェールやピエール・アンリなどを魁とする(もっといえば騒音=ノイズを抵抗運動の振る舞いとした古今東西の民衆運動がその根源なのだが)、具体音楽(ミュージックコンクレート)である。この両者を比較すれば分かりやすくはなるのだろうが此処ではまだ安易にその極左に目をくれることなく、極右の、それなりの痛快に沈潜したい。従って、極右の未来像が鮮明になった今、クラフトワークの試みも、音楽技術史の一幕を飾る博物館展示物へと成り下がると考えられるが、先の事など分からない。今は、そうした思いから来る奇妙な懐かしさを伴いながら未だに最先端に留まっているクラフトワークという斬新を、未来における全体主義的加担への可能性も兼ねる危うさの毒を苦みに転じさせて、渋く味わう。統帥への陶酔なのか。とはいえ、音楽における全体主義というのは此処では、単に音たちが全て電子音へと統制化される結果の事であり、音楽聴取者が政治的に全体主義へと陥る謂いではない。聴取者は、全体主義化した極右電子音も楽しめば、電子音の抽象性や普遍性を、具象性や特殊性へと引きずり落とす出鱈目に多様な音を炸裂させる電子音楽の極左も楽しむ、そうした往復=振動(反復?)が既に始まっているのは、言わずもがなである。思えば退屈な話である。一度、タラオをこっぴどく懲らしめたい衝動に駆られるのは小生だけではあるまい。風立ちぬは映画館で4回見たが、テレビでまた見てしまい…性懲りも無くその美しい余韻から立ち直れない。車の任意保険の更新時期が来ているが…菜穂子が宣伝しているソニー損保に乗り換えようか、とすら先走りたくなる…また息が浅く、苦しくなってきた。

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