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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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茶会記

日時 2018年5月12日 晴れ
場所 小生宅 不吉庵
亭主 小生
正客 讃岐国住 先輩
半東 細君

迎え付け

最寄りの駅まで正客を迎える。付近の空き地に生える白詰草を御客と共に摘む…駅から小生宅までを、茶室の路地に見立てて…。

待合

ほうじ茶 鹿児島 寿老園
湯呑 斑唐津
蟹の図 掛軸 正客 画、表装 小生

出迎えから直ちに、白詰草を摘みながら正法眼蔵について話が及ぶロケットスタート…摘む吾らの直ぐ背後で少年が一人不思議そうに、吾々のやる事を凝視している…道元禅師の化身なのか。

席上揮毫

筆  熊野 空之又空
小筆 写経用
硯  雲竜彫刻
墨  呉竹

水指から柄杓で水を汲んで硯に注ぎ、墨を擦る事30分ほど…

小生揮毫 隷書体
「天地不仁 聖人不仁」 老子

天地は仁ならず。聖人は仁ならず。仁とは儒教の中心概念であり、そうであれば此の一節は儒教を根本的に批判しえた老子の思想が如実に表れた箴言であるが…現代において仁とは、畢竟、人間社会で良しとされ、支配的に無意識に権力構造として流通している「制度」そのものだと解すべきであると小生、一講釈入れて…天地は、人間社会の中でさも絶対的であるかのように流通し人間をありとあらゆる面で束縛する理屈や道徳とは一切関係なく運行している…道を体得した聖人もまたしかり、制度の無根拠性、絶対的な説得力の無さを大悟しているが故に制度の無根拠性を暴露し、制度とは根源的に自由なる存在である…。

正直言って、水を入れ過ぎて滲みが多く、揮毫は失敗と断ぜざるをえないが…其れもまたよし、其の後の嬉しい展開を思えば…。

とりもなおさず、揮毫を床柱に掲げる。

初座

菓子入 人造大理石青色金縁化粧箱
菓子 金平糖 レモン味 緑寿庵清水 京都
菓子器 錫直し高坏盃 高台に窯道具張り付き 緑釉

風炉 くり貫き干瓢
釜  GEマークⅠ型原子炉形 車軸釜
蓋置 ひょうそく
羽根 金剛インコ
柄杓 竹 亭主が持ち手先端を尖らす
水指 砥部焼 麦の図染付
建水 黒楽風 弘法市にて
茶  至宝の昔 宇治
茶杓 黒木 亭主が持ち手先端を尖らす
茶入 ふくべ形 飴釉
茶碗 高麗蕎麦平

結局、金平糖は、美味しんぼで雄山が栗田に課題を出した京都の緑寿庵清水に直接電話注文して取り寄せる…カリカリと金平糖を噛み砕く音が、濃茶前の緊張した静寂を際立たせる…歯ごたえがいかつく、風味がしっかりした本場の金平糖…

中立

此度は初座と後座をはっきり区切るような形の中立は仕組まず…どだいきちんとした水屋が無いのでこれまでの茶会のような無駄なあがきはせず、床の間飾りを変更する様子を客に隠す事無く、客の面前で書を片づけ、花入れに、客と摘んで来た野の花を生ける趣向…

後座

床柱上部に設置してある駱駝の帽子掛けに鎖を垂らし、掛け花入れを真中に掛ける…

花  白詰草
花入 丹波焼 しのぎ紋たましい形
へうげもの第25服を花入れの斜め下に飾り置く…

菓子 金平糖 レモン味、サイダー味、苺味 緑寿庵清水 京都
菓子器 晩酌盆 チーク
    荘子の一節「混沌、七穴に死す」に想を得た図案と漢文を小生が彫刻
茶碗 へうげ十作
   フクモ陶器 縄文トンネル茶碗 正客
   小孫哲太郎 松の図茶碗    半東
   
   李朝染付茶碗         小生

其の外は、初座と同じ

本来ならば空き地で蒲公英を摘み、床柱の中空に佇む掛け花入れに生ける事で、へうげものの見事な御開きと、人生の達人古織公の絶妙な生き様、昇天すれども成仏せぬ偉大なる俗物を偲びたかったが、生憎近所の蒲公英の花が皆終わってしまったのか全く見つからず、此れも些か盛りを過ぎて枯れかけた白詰草を代用としたが此れは此れで此度の趣向である侘び:荒み=8:2の趣には添うていて…各自に薄茶をつかわす。小生が遊びで彫った晩酌盆を菓子器として用いたが、此の晩酌盆がいかようなものかは、此処では詳らかにできない…其れこそ来客のみの特権である。

薄茶後、存分にほぐれ…正客が、持参した半紙を取り出して書画の即興揮毫を提案…改めて硯を持ち出し、酒宴の時間まで皆でのびのびと思い思いで筆硯に遊ぶ…主客未分の一座建立此処に成る。

 
後座の後の、だいぶはだけた道具組の様子

 
後座のあと、風雅ほとばしる揮毫合戦と相成り…向かって右側の、「不二」と太極図は正客、左の「無門」が小生、草花の図が半東。此度の正客は茶会三回目にして自ら創意を提案する達者な客ぶりさえもを披露され…数奇の腕前が鰻上りにて、…茶禅一味の妙境を既に十分会得しておられ、すっかり茶の湯上手が板についておられる…とりわけ其の能筆ぶりには嫉妬の炎さえもむくむくと擡げ、所詮「書は人なり」の格言どおり、味気ない人物が必死こいて練習しても無駄なのかと格の違いを認識しつつ、しかしそうは云っても決して卑しくはならないというか、結局の処よいものを見た、経験した、と云う事から来る爽やかな契機と反省にもなり、改めて、無理のない、地に足の着いた、自分なりの精進に努めたいと、素直な心も抱いたのであった。

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