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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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番外編 ハードロックのまどろみ



盆過ぎれば立秋間近、暑苦しい油蝉の謳歌に混じって幽かにつくつく法師の調べが聴こえて、もう夏も終わり、夏の終わりに感応するのは今更より遡る事数週間前の…近所の邸宅の塀から繁茂した橙の花満開のノウゼンカズラがある日きれいさっぱり伐採された日を境にして…稲の被害への心配が先行するのが取り越しであってくれたらよいが、と、氾濫した水面に没した稲がわさわさ揺れる様子が心ならずも美しく、和歌山県にすさみ町なる地名を知り、こちらは所詮、石鎚山とかの四国山地の奮戦によって期待したほどの暴風雨も観測されず、空しい拍子抜けの陽炎から、天然人事いずれも選り好みせぬ事変への希求がさもしさを増す、大した事無かった台風一過に、罰当たりな怒りを抱える不可解に転じて…いまだ薄曇、されど風は無く蝉は鳴きどこぞの赤子は虐待よろしくわめき泣く。何も守られない空しさばかりが…屈託を持て余して、厳しい。これまで幾度もほとほと倦みながら綴ってきた描写、それに何の権威を期待していたのかも無自覚なままだからそうした意味で自堕落に己に拠って書き出される文字に己が寧ろ依存しながら…足の踏み場も無い程手数の多いというよりも手数の疎密の分布が夥しいキースのドラムはそれなりの張力なり粘性を持つ故の泡立ちの、膨れと弾けの微細且つ高速の泡沫が、生物の体温を批判する深層の深みへとぞっとするほど非人間的に直結する、そうした表層性があくまでも表面的には淡く光となってきらきら弾けては膨らむ微細を走るのが、ロックと音楽の根源に仕方なく起因する視覚的権威を嘲笑する邪気を申し訳程度に塗しながら聴こえてきて…リズムがついに、アフロの土との作用反作用のニュートン力学から解放された境地を展開するのであって、この事はイエスに云われるまでもなく「フラジャイル」(こわれもの)という形容で歴史へと編集される納まりに納まる類とは端から異なり、「幻惑されて」(ツェッペリン伯)事を済ますしたり顔に唾する程度には、高周波の切り立ちが先鋭であり、その事はこの音を聞けば聞くほど微分化される音を突きつめた結果としての積分がただの虚無という積分定数へと匿名化されるのに矢張り幻惑されながら、音の粒立ちはいまだに磨耗せぬばかりか、人間を切り裂く程度の日常に留まっている。もはやハードロックの音源たちは小生の血肉と化しており…個別の音源を取り出してあげつらう所作は、己の肉を切り裂いて手術ミスで体内に置き忘れたCDの破片を探査するようなもの、既に体と同質化しているものを取り出す事など出来ぬとして小生の思想となったハードロックは即ち己を語る事に他ならぬという、以前にも書いたが小林秀雄のドストエフスキ論と同じ撞着を免れぬが、これが方便なのか呪われた出自なのか。思えばこのセルアウトというコンピレーション的アルバムはフーの、創造的に屹立するアルバム群から数曲ずつを横断的に掻い摘んで寄せ集めたテリーヌのようなものなのであって、フーが己の全身の血肉/思想と化して最早分析的にはあたれなくなった小生にとってまさにフーを語るという越権的な戯言がありうるならばセルアウトをおいて他は無いという事情があった。フーの各時代の成果が有機的な血肉と化しているのがセルアウトであるということだ。哀切なる歌唱、そしてこの言葉が意味するのは済度し難い守銭奴や虐待家などの市井の気違いが織り成す厭世と悲惨、それらが鋤きこまれた音楽が決して猥雑なふてぶてしさを失わない不思議、如何に清冽であろうとも…フーの音楽がもたらすこうした違和感へ引き裂かれる原初の苛酷体験はいまだに鮮烈であり、聴けば聴くほど自我対自我、自我対社会の平衡作用が故障させられる混乱が生々しい…今になって、結局こちらは滅茶苦茶にしてくれなかった台風への拍子抜けが忌忌しい。

番外編と銘打っているが王道なきロック史である以上、番外編が本編になりうる可能性は濃厚だ。何度も挫折し、伏流しては湧出、既に、始まっているのは皆も承知であろう。皆、といっても、二、三人と思われるが…。

メモランダム

どうもうまく書けていないのでまた繰り返すが…武力に勝る国が、武力に劣る国の主権回復に根差した抵抗を、テロリストとレッテルを貼りつけさえすれば、勝る国が劣る国の主権を武力で侵略しても問題ではないという前例を、かつて世界の警察を自負していたアメリカとその賛同者のヨーロッパ諸国と日本などの同盟国が作ってしまった。9.11以降のアフガン、イラク侵略は決定的だったがそうした前例はアメリカによるベトナム戦争や中東や中南米での政治工作など、それ以前にもたくさんある。相手をテロリストだと決め付けさえすれば相手に対して思考停止してもよいという御墨付きだ。ウクライナやガザ、シリアなどの現在の紛争の数数はすべてこの前例を大義名分としているから欧米が今更その失政を糊塗するために何を云おうが説得力を持ち得ない状況にあり、旧共産主義国=遅れてきた帝国主義国ロシアと中華人民共和国はこの前例を利用して覇権を広げる口実とするだろう…かつて欧米が力づくで世界に承認させてきた事が仇となっている。だから歯止めが効かない状況だ。今の処、帝国主義の末路に関する歴史的遺産が有効に使われる兆しは全く無い。全然、対岸の火事ではない。

小美門研介=不世出のキャラクター。人間の裏と表を幾らでもひっくり返し、寄る辺無い世間をサヴァイブする哄笑の真実…社会的に承認された、耳に心地よい物語を徹底的に罵倒するのだけは怠らぬ激烈なるファシズム批判…「社会勉強」なるものが存在するならば、リーガルハイを見るだけでよい。糞DVDレンタル屋で借りてまた見てしまったのは、リーガルハイのスペシャルドラマ、いじめ問題編も痛快であった。第二シリーズの最終回も借りてあるので、数日中に、また、「醜さを愛せ」の名台詞に出会えるのが楽しみでもあるし、視聴するこちらの気力も調えないといけない。

一部のコスモポリタンやインターナショナリストなどによる国境否定が「心境的」なものに留まるならば時局の押し迫った当世において何の意味も無い。西ローマ帝国滅亡後、中世にかけて形成され現在に至るヨーロッパ人にとって、地理上はゲルマンやラテン系諸国に分裂していようとも、「インターナショナル」とは、例えば日本の会津と薩摩が如何に仲良くなるか、といったレベルの問題意識でしかなかった。日本国家への近代的統合への努力は時間の問題であった。EU統合の素地はそこにある。EU統合に際しそれなりに困難を乗り越えたとはいえ、彼らの抱えていた問題はその程度の事だったと見ていい。だから数世紀前から提起されている、世界連邦による国境の無意味化という一つの解決策の足がかりにEUを見るのはあながち間違いではないにしても、その困難の度合いはEUと比べるべくも無くあまりに大きいという覚悟は必要であった。元元、大航海時代以降のヨーロッパ人にとってはアフリカやアジア人は自分らとの対話や交流の対象となりうるような「同じ人間」ではない、奴隷などの「モノ」として扱うのが当然だとする、優越的な囲い込みの意識でしかなく、予め隔絶した他者性との対峙など念頭になかったのである。

高速道路の山陽自動車道上り、福山SAのフードコートに所在する、備中田舎定食と備後田舎定食はあまりにもマズすぎる。白飯が進まない定食というのに初めて遭遇した。従業員の涎をわざわざ時間かけて収集したが如き、薄すぎて水っぽいトロロ芋の小鉢…見るだけで吐き気がして手が付けられなかった。この劣悪を周知徹底したい。

台風一過、盆休み初頭の予定を狂わされて行き場をなくした民衆が手近なメガショッピングモールに殺到、消費に毒された民衆が資本の手玉に乗って憂さ晴らしの購買行動…文字にするとほんと馬鹿馬鹿しいが午後二時半頃、「麦とろ物語で彩り海鮮丼」を食していると隣席の女子らが薄く浅い恋バナで時間を潰していた。老若男女こぞっての人いきれの凄まじさに、狂ってる、と呟く民衆の一人の小生…細君にせがまれて特殊印刷用紙を買いに来ただけだ、と言い訳に徹する。モール内のヴィレッジバンガードにあった虹色のガラスのごつい灰皿にそそられたがそれを抑制した事を思い出した。

その人間の社会性が腐るほど多種多数の本を蒐集して読む人は居るし、多種多数の音楽を蒐集して聴く人は居る…音楽は聴けば聴けてしまうという事があるがしかし本を、月に二十冊以上読んでます、などとうそぶく人間の読書体験など信用に値しない。それは、月に二十冊は読める程度の、ほとんど記号化したような意味作用しか発現しない低レベルのハウツー本の類をつまみ食いしているだけの人種である事がその発言からよく分かる。例えば資本論や精神現象学、旧約新約聖書や正法眼蔵といった、およそ一人の人間が一生付き合わないと読めないようなレベルの書物を、月に二十冊といったスピードで読めるものだろうか。そんなわけで最近はもう、あまり目移りしないようにして、手元にある、自分にとっての世界と対峙するために決断し選択された、数冊の、基本的な文献のみをじっくり読むようにしている。だから小生は、月に一冊読了できるかどうか、である。音楽は、たくさんの種類を聴けば聴くほどいいとは思えど、金も時間も限られているのもあり、選ばれた数枚の、ガレージやハードロックの基本音源のみを何度も何度も沈潜して聴いている次第…

キーボード、ゴチ、司会、お散歩、地方での飛び込み取材交渉、食レポ…なんでもそつなくこなす国分太一が、今の時代の「気分」なのか。

こたびの台風報道で気になったのは、和歌山県すさみ町という地名。

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