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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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歳末大掃除

結局細君が掃除機を掛ける時しか此の類の文章を書く時間はないのか…背後で掃除機をガーガーされながらも書き始める過度な集中を傾注しての…先々週くらいから持ち越していた2016年の2大事件の二つ目の、②トランプ政権誕生、について、今更誰しも分かり切った事ながら改めて歳末大掃除よろしく手短に整理しておきたく…結局のところ、一度社会の中にファシストが出現したら、民主主義体制下では決してファシストの権力掌握を阻止する事は不可能だ、と云う事である…この事は過去の歴史が幾度も証明して来た事だが、今回も其の歴史の傾向の蓋然性を正当性で補強する羽目になった。此の現実を直に受け止める絶望こそが真っ先に必要である…其れは、此の現実的な絶望こそが今後の政治を未来に賭ける現実的課題として改める前提条件である…それはそうとして、此れも忸怩たる己の無能を噛みしめざるを得ないのだが…選挙期間中、トランプはファシストであると云う言説を有力に流布できなかったアメリカおよび西側陣営の配慮の異様こそが目に付く…此の配慮の根源は、まさか自由主義の盟主アメリカ国内からファシストが生まれる訳がないと云う思い込みへの当惑と、真に差し迫った危険を目前にして其の危機を甘く見る人間の心理的平衡習性によるのとは別に、何か政治的な核心がある気がしてならない…トランプの言説から、彼はファシストだと明言したのはメキシコの元大統領のみで、なぜか国際世論では等閑に付される此の始末、此の配慮、自粛への疑念は尽きないが、しかし、此の罪深い自粛の責任の大部分は主要良識メディアだけでなく、相手候補のヒラリーの無能に負うべきである…ヒラリーが一言、トランプはファシストだと論理的に雄弁に語りさえすれば戦局は確実に変わったのである…およそファシストとは、資本主義経済による貧困層の怨嗟の増大の責任を、国内の恒常的に歴史的に差別されてきたユダヤ人やソーシャリストやコミュニストやマイノリティやアラブ人やイスラム教徒や異民族や移民と云った目先の具体的な人間に、押し付ける事で問題を単純化させて解決への単純な道のりを簡単に幻視させるのが得意な形振り構わぬ人気取りなのであって…被差別マイノリティらが現支配層から権力を奪取する恐れを現支配層の内部に煽っては自身への支持を内発的に惹起せしめるためには、そうした不安なる現状を維持している諸々の常識、大抵目の敵にされる基本的人権を侮辱的嘲笑的に侵犯して悪びれもする不遜が潔しとされる劇場を構築した上で、移民の国外追放やテロリストへの拷問やテロリストと疑われる人間の家族や一族郎党までも有罪の累を及ぼす、などとタガを外してぶちまけると、理念的に構築された現支配層の被害者意識が火種となって人権侵害への無神経が肯定的に蔓延する表層的な熱狂と、底冷えのような恐怖政治がますます相乗的に悪化していく…こうしたファシズム特有の内容を、まさにトランプは己の演説で表明し、ある程度受け入れられた現実があるから彼は、少なくとも選挙期間中の言説においては専ら真正のファシストと規定してよい。(不法移民の国外追放は、元より不法なので文句は云えないのであるが)

とはいえ、選挙期間中の言説だけでもトランプは立派なファシストだから本来ならば良識ある民意で落選させるべきだったが、もう当選してしまった以上、うろたえ続けても致し方あるまい。ファシストのもう一つの特徴としては上記のような言説に加えて、たちが悪い事に有言実行である、という事が厳然としてある。だからこそ権力を握る前に落選させないといけないのだが…云っても詮無いので、結局、我々が出来る事は、トランプが言説だけでなく、実際の政策においてもファシストかどうか、注視する事である…返す返すも情けない顛末とは云え…当面は、残存するリベラル派のアメリカ国民も何も出来ないだろう…いずれにしても国内の実際的なファシズム化が現実に起こるか否かは、トランプと云う、言説だけからは極めてファシスト性の強い唯一個の人間の恣意に委ねられてしまった、のが現実である。こうした不安定な事態に陥るのを防ぐ力は民主主義と云う制度自体には存在せず、それこそ、本来的に何の根拠も無いから制度化されない、国民一人一人の意志の集まりが、御世辞にも防壁とは呼べぬ、建前に過ぎぬかもしれないフラジャイルな生垣(=生きた垣根)がファシスト化を防いでいたのだ、常にファシストの風を通しながらも、本格的な侵入を結界のような脆弱さで拒んでいたのである…其れを無視さえすれば誰でも侵入できるようなひ弱な生垣で以て…こういう切迫した、こわれものの現実を今改めて己の中で惹起せしめてこそ…意志を持った人間が人間である理由が生成的に確立されるだろう…人間はいつでも此のひ弱な、既に正当性や根底が突き崩されている不確かな意志にしか依存できないのである…不確かな人間の意志(=基本的人権、多様性)を捨て、如何にも具体的な目先のマイノリティを自分らの不遇の元凶と見なす具体的判断に飛びつくのはそれこそ意志の弱い人間のサガとは言え…此の質の劣る弱さは、己の意志の弱さを直視しない二重の弱さを誤魔化すために目先の具体的な確かそうなもの、声のでかい者(=ファシスト)に反射的に群がる…人間にできる事は、こうした意志の弱さに起因する欺瞞をも意志で以て認識する事である…認識する事で、直ぐ飛びつきたくなる流れを断ち切り、一旦踏み止まって、他の選択肢を見渡す余裕乃至は遊びを拵える事である…此れが即ち人間の知性であり、絶望であり、思想である。知性とは高尚なものではない…それこそ最底辺なる弱さのみが見出す真っ黒な光である…。

こんな、まさに最底辺の、基底の、あまりに凡庸な、陳腐な思想など分かり切っているという御仁なら今後どうするか、無論、最近のトランプのトーンダウンした言動から、目先の危機を過小評価する安心感に浸る根拠なき楽観論に漫然と浸る事ではない…しかしながら此処は日本ゆえ、アメリカでの抵抗運動の具体的な計画を開陳するのはあまりに余計な手間である…トランプによる、日本での状況変化と其の対応を具体的に考えなばなるまい…(続く)

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HN:
仄々斎不吉
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非公開
自己紹介:
 数寄の天下を獲らんがため号するは、仄々斎不吉。

 三千家(裏千家・表千家・武者小路千家)及び諸家茶道流派に例外無き教条点前に豪を煮やす一方、近代数寄者(益田鈍翁、高橋掃庵等)以上に見立ての幅が広がった現代茶会に更なる侘びの新風を吹き込むべく研鑽を積む。

 利休の、無産有産といった階級をも併せ飲む侘びの骨頂に根ざしながら、そうはいってもありがちなブルジョア金満足だけは厳に慎みたい労農茶人。

 草木に臥してなお風雅を愛でる仲間であるために、茶の湯だけでなく、路上観察、テレビ跋渉、音楽及び納豆評論、 30人31脚批判もこなす趣味人にして愛陶家。 猫舌。


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