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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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両岸の観桜茶会記

川岸の桜並木を狙って茶会に繰り出す…

四月七日 日曜日 花曇り…

此岸の観桜茶会

桜の木陰で花見が出来るとあって着いた早々から所狭しと宴だらけで…敷物を敷いて花見弁当でも食しながら風情を楽しむのならまだしも、桜など見えないだろうにでっかいテントを設営して其の中でバーベキューに余念なく、イカツイ系の音楽を大音量でズムズムさせるとあっては狼藉此処に極まれりの感あり…致し方無く、隅の方の、何やら馬の蹄鉄の何かを偲ぶらしき刻字が殆ど磨滅した馬蹄型の石碑が暗がりにひっそり立っているジメッとした箇所に茣蓙を広げ、他の常緑樹のせいで日当たり悪く貧相な桜の近くで一会を催す…ジメついた日陰にも桜の花弁がひらひら舞い落ちる様子をつぶさに観察しつつ茶を喫すると周囲の喧騒をしばし忘れて…道具に宮崎土産などを用いた事により、図らずも名残りの茶会の体を為して…

主客 細君
亭主 私
菓子器 朝鮮蛤(青島)
菓子 金平糖 和三盆(讃岐)
湯 水筒
茶 宮崎茶会の余り
茶器 アルミ缶
茶杓 黒木
茶碗 井戸


彼岸の観桜茶会

爛れた狂騒の只中、数奇の一閃にて目に物を見せたつもりではあったが俗悪なる大勢が覆る筈も無く、文字通り河岸を変える事にする…川に沿って歩くと…橋の下をくぐる暗がりにてアルコール要因に係る頻尿を催したらしき男の立ち小便と遭遇するから、事が終えられるまでしばし待ちつつ…男去りし後、小便溜まりを嫌々避けつつ(特に細君…)更に川沿いを進むと、人気が切れた土手が広がる…人がなぜ少ないのかと云うと桜が植わっていないからと云う現金な理由によるものだが…有象無象の調子こいて酔っぱらった人間と氾濫するゴミと酒の瓶缶、迷子に肉、ズムズム音と阿鼻叫喚の塵埃を抜けた処に、気持ちよく川面の風が吹き渡るのは何物にも代え難く…しかし其れでもふと川の対岸を見やるとあちらの岸辺に桜並木がふわふわしているのが分かる…更に其の桜の背景には、浄土系の寺の本堂の甍が堂々として…近くに桜は無いが此処で十分じゃないか、と云う事で、人が通り過ぎるだけの土手を少し下りた緩い斜面に早速茣蓙の結界を張る。此岸の茶会と同じ道具組なれど…彼岸の桜を眺め、茶を喫しつつ…細君が持参したシャボン玉を飛ばす行く末を楽しみつつ…ツグミなんぞが独自の警戒感を露わにしながらよく刈られた草原を歩く暢気な風趣を楽しむ…しかし、時刻はとうに御昼時を過ぎ…折しも風向きによってはバーベキューの肉臭が否応なく漂うから、金平糖のみの茶会に対して恨みざらまし、の感を呈す主客ではあったものの…よい茶会ではあった。

道具組は、此岸の茶会に同じ。



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