ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「the sonics/here are the sonics(1965)cnw903」小沢
「アーッアーッアーッ」
ついにここまで至ったかと。自分自身の遣る瀬無い無気力が原因にせよ自分と云う心身も含めて一切を環境のせいにするにしてもいずれにせよままならぬ生活上の、漠として悶々とした蟠りや焦燥に耐えかねて、心の中で絶叫しているつもりが、実際に、この外部世界に物理的に声を出して叫んでいた事を細君に指摘されるまでに至ったのであった。帰宅後、ブリの照り焼きを作製中…フライパンでブリの切り身を強火で焼き旨味をしっかり閉じ込めた後、さっぱり涼しい甘みが特徴のテンサイから抽出した砂糖と醤油、水、唐辛子と生姜汁を調合したタレを絡め、煮汁がなくなるまで弱火で煮、ブリに濃い味が浸み付けられ照り出す瞬間、煮汁はとろみを増しついにはジリジリと芳ばしく音を立てて焦げ目を焼き付ける調理のクライマックスにおいても定かでないうつろで、それでいて切迫した思いに憑りつかれていた小生は、自分でも気づかずに、専ら心の中で叫んでいるつもりが、肉声を発してしまったようなのである。だからどうだというわけでもなく、毎日こそこそ情けなく自分の弱さにへつらいながら生活し続けるのだろうが、自分の身体を統御する余裕がなくなる日、というのが少なからず現実味を帯びてくる…。小賢しい知恵がついた優等小学生が作文なんかで他人に印象付ける姑息な手段としてよくやる、鍵カッコの会話文を冒頭に持ってくるやり方で書いてみた。
いよいよ、7月から9月まで、土日が出勤で木金が休みとなることが本決まりとなった…共働きで幼い子供がいる家庭はどうするのか全く無視した決定である…日曜日に子供を預かってくれるところは無いだろう…小生にとっては悪い事ばかりでなく、むしろ行ける骨董市蚤の市が増えて、有難いくらいだ。
書道漫画とめはね!の最新刊を読了…「日展脱退は当然のことです!」と叫ぶ、前衛書道にひた走る高1女子に、久々に萌えた。明日は散らし書きに挑もうかな…。ぎりぎりの楽しい暮らし。
今日、喉に痛みを覚え、風邪のひき始めを俊敏に察知、小生が頼りにしている風邪薬エスタックイブを素早く服用、速攻で風邪を治した…普段、心の風邪で賃金仕事をしばしば休む小生にとって、本当の風邪で休む有給休暇の余裕は皆無に等しいため、体調管理を怠るわけにはいかない。この間、心の風邪でまた休んだから、もうこれ以上、休むわけにはいかない切迫した状況なのである。
ソニックスのファースト。多分米国。呂律の回らない泥酔した黒毛牛が杉板をバリバリ噛み砕く草食性の獰猛な声…先週、パンクの興亡を横目で確認しつつのポストプログレッシブロックとしてのモダンロックにおいても発芽しているガレージの荒みないしは異物感というのを指摘した。1965前後、まだ、ビル・ヘイリーと彼のコメッツやチャック・ベリーのような、頑迷固陋たる紳士淑女の眉を顰めさせるには十分にしても、享楽的なダンパ音楽=ロックンロールに収束していたのが、そうしたロックンロールから、良くも悪くも近代的な聴者の精神のエグミを分泌させるロックの荒みを抽出させえたような稀有なるバンドの一つが、ソニックスといってよい…アルバム所収の楽曲の大半が、50年代のロックンロール風の結構を保つ中、前触れもなく荒みに荒んだ拠り所をかなぐり捨てた強烈なリフの楽曲が勃発している…まあ一般的に言われている事の追認になるがガレージの端緒は、そしてロックという音楽の本来たる不逞は、アメリカのかようなロックンロールを突破してきた殺伐なのであって、一般的に言われているようにビートルズ史観の傀儡たるブリティッシュインベンションという現象は、個々のバンドを聴くと例外しかないにしても、ロックと云う音楽の凶暴を姑息なメロディラインで民主的市場的に馴致し萎えさせはするけれども、決してその凶暴を真空パックしてアメリカに逆輸入させるようなものではなかった。ロックの本道ですらなかった。だからといって忌み嫌う必要もないが、ロックにとっては津波災害に近いものであった。
ビートルズ史観はロック史の安全装置である。この巧妙な安全装置を外すことが、ロックと云う音楽を聴くことである。
金色の光の上に白雲が泡立つ飲み物から、琥珀色の重たい飲み物に替えて、喉を酔いに焼き付ける…スコッチLABEL5…クリーミーな味わいとあったが、なんだかヌメッとしておる…すぐ気にならなくなるであろう…。
ダルなブルースから、重ったるくダユダユに揺らめく炎の揺さぶりが次第に大きく手が付けられぬほどになり、盲滅法に強靭に、その位置を動かずに暴れ出す…繰り返すがハッとするようなリフが火花のように闇を切ることが多い…べーべーべーべ―御下劣な、耳障り極まりない下世話御サックス…これがどうしても従来のロックンロールからの容易ならざる脱皮の困難をきっちり背負わせる…この御サックスをなくし歪みギターを効かせれば明瞭にガレージの音になりうるのに、やはり65年という時代の尚早ゆえか…このようにしてロックの野生は生まれたのか、というのがこのアルバム一枚で分かる。超新星爆発後にたなびく暗黒星雲から星々が個別に輝きながら誕生している数億年前の姿を今見るような…小生はこのように、ソニックスを聴いた。いや、物理的比喩に説得力をもたすのは安全装置への加担だ、と後味悪く終わることにする。荒くれの酔漢がいい気分で歌い奇声を上げる愚駄愚駄なクリスマスソングが和む。night time is the right time、まさに今、である。now's the time!
ところで、小生は、出来るだけプレイヤー名と担当楽器を記すことにしているが、そのアルバムのどこかにそれの記載が無い場合は記さないことにしている。ネットとかで調べればそれくらいの情報は分かるのだろうが、あくまでもジャケットかライナーノーツに記載が無い場合は、それがそのバンドの思想として受け止め、ここにも記載しません。
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