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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「the psyclocks/psyclock shock!!!(2011)bnr-01」大寒


 春の訪れを感じた雨の大寒。
 土曜の夜だというのにもう気分は、突破力や人間力がずり落ちただらしの無い蟠りの闇雲の脂にまみれたクサクサ感に苛まれ、鬱屈、やる気は省かれる。熱心に撮影したわけでもないから写真では判然せぬが部族の呪的文様を肉に直接、麻酔無しで粗雑な鉄器でぐいぐい抉りに抉った波状黒備前の徳利から、厚ぼったい器胎の見込みにたっぽり含ませられた黒釉の底にはもぎ取られた翼の化石の如き目跡が残りそこに凍結した星辰が降り出さんばかりにホツホツとかせ、縁には局所的な釉薬の垂れが、恐山のイソリ山の遠望のように黄金色に沈みつつ、高台脇は駱駝の一斉遁走のような晩秋の木漏れ日が精妙に溢れる同じく備前の酒杯に酒を注ぎ、織部の、踵で踏んづけたが如き小皿に割きチーズを戴き、という体たらくである。彫刻の大先生から頂いた越乃寒梅…賀茂鶴の爽やかな甘口もよいが、越後の酒のキリリとした辛さもまた、よい…酒杯に酒を満たせば夜が静かにたゆたう。
 雑誌連載上の最近のへうげものは、関ヶ原を中心とした政局の話が多く数寄が少なく、致し方ないとはいえ、もう結末も分かっていることからも、既に悲しみが納まらぬ。東京カワイイTVはギャル系とその系統に偏りすぎでつまんない…かつては種々の分野にまで目を配っていたはずだが、最近は勉強不足ではなかろうか。と思っていたら、手作りロリータが反骨を剥き出して面目躍如。原宿系派手キッズ派…初めて知ったぞ。モデル経験、ウォーキングなぞどうでもよろしい。新しかった。かくいう小生も、年末にお助けしたコート、剃刀未経験の真っ赤な頬に産毛がさわ立つような幼い面構えの不良中学生(後ろ髪ロングのジャンボ尾崎ヘア、整った細眉…実際には悪事を働いたことは無い。小遣いせびりながら親を口汚くののしるのみ)が屯するような安価な店で、そこそこ悪くなかったが如何せん三十路を越えてししおきが意志に反して発達したおかげでサイズが合わずさながら拘束衣のようであったのを、妻に進呈しようかと諦め掛けた矢先、むしろいぎたなく好機ととらまえ、そのコートをリメイクすることにした次第。ばっさり鋏を入れたら綿が溢れ出して処置に困っているが、少しずつ手縫いで改造するつもりだ。
 いつまでこんな状況をだらしなく反復しているのか…決定的にまずい、その状況を聞けば誰もがあまりの深刻さに絶句するようなにっちもさっちも行かない事態をまたしても引き起こしてしまい(とはいえ最早自分に責任があるのかどうかも己の迷妄故なのか人間が二人以上いるだけで複雑すぎてもう分からない…責任とは責任の存在の不可能性を受け入れることかもしれないとは思いつつ…)、個別的社会社内部の個別的出来事なので当事者以外にとっては些事に過ぎぬが、些事に盲目的に真摯に拘泥することが、天下国家百年の計と隔絶した、民草の営みというものとはいえ…。製品を量産する上で根本的にまずい、破綻した状況…あらゆる原因の可能性を探るためちょっと原材料の温度を測定しただけで、「うちの部署を疑っているのか!」と怒鳴り込まれる始末…責任のなすりあい…心底馬鹿馬鹿しくうんざりしてくる…根回し好きかと思いきや「密室談合は印象が悪い」と事前協議を拒否し国会でのぶっつけ本番を望んでくる、しかしいきなり法案提出すればそれこそ「こんな重要法案をいきなり提出するとは何事だ」と難癖つけてくるに決まっている昨今の野党の対応を見ていても、最早冷静な話し合いすらも反射的に拒絶してくる思考停止の幼稚な日本人にほとほとうんざりしてくる。(野党のそうした反応は、与党としても折り込み済みの事であり、最終的には消費税や社会保障改革を進めるために、事前協議の持ち掛けは、野党の国会での論議拒否を封ずるための布石だと思われるが、本来ならばそうした三顧の礼的な意思決定プロセスにかける悠長な時間もないほど国の状況は切羽詰っているのではないか)天皇制という大いなる無責任体制に護持された下剋上が良くも悪くも跋扈する、そのくせ理念を尊崇する狂った知性は幸いながら皆無なれど率先的に媚びるしたたかさだけは活発ゆえに妙に統制が堅固な不自由極まりない無政府主義国家=日本、というとらえ方をすればあまりにユニークであるが、兎角面倒くさい、関わりたくないのは確かだ。天皇と云うのは有難がられるだけで統治能力ゼロ、根本的に馬鹿にされている白痴の王である。そろそろ「風流夢譚」を出版する気骨のある出版社はいないのか。いないだろう…極右壮士の捨て身の攻撃はいまだに健在ゆえに。(「楢山節考」で有名な深沢七郎の小説。天皇一家が、革命を起こした日本人民によって皇居前広場で吊し上げられ虐殺される発禁小説)来週からまた最悪な状況が始まるのが正直、苦しい…。
 茶川賞を頂いた田中氏…舞城氏にしても田中氏にしても言葉のみで言葉を書いているような表層の疾走感が新鮮味と勘違いされているのか危うさの無い自閉したガラクタ性の徹底が寧ろ反体制にとっても体制にとっても無害という意味で胸糞悪い紋切り型の主語と述語の繋がりを屈託なく無神経に接続する作風であると批判することが、身体性の無さという批判と同一ではない。身体性は一方で、承認された概念に過ぎず、従って石原氏が身体性の無さによって昨今の小説を非難するのは統制への無自覚な媚びを自ら公表しつつ自らの文学を、自分という奴隷を買った領収書へと貶めている茶番に過ぎない。そうした身体性からかけ離れているからといって、田中氏の小説が小説たりえているとはいえず、かといって田中氏は、専ら言葉の中に突っ込んで行って、言葉を言葉たらしめている絶対の無関係性に直面するわけでもなくそうしたことには都合よく関わらない小器用なスマートさや饒舌が売りなのだとしても、体制にとって如何に胸糞悪い無害ではあっても無害である限りそれは結局、民主的市場的体制の肥やしになることを知らぬのであれば、体制の役に立つという意味で、人間が読むに足る小説ではない。石原が書く小説から、足元をすくわれるような戦慄を覚えたことなど一度も、そして金輪際ありはしないのだがら厚顔無恥ここに至れりの感だが、田中氏の石原への言及はそうしたことにふれることもない、幼い、おそるるに足らぬ不徹底に終わったのも結局そういうことなのだろう。どうせなら、石原の石原性を論理的かつ文学的に徹底的に粉砕せしめるがごとき寸鉄の金言を、あの場では述べるべきだったのである。マスコミ受けするレベルの、酔いながら拗ねて、寧ろ石原に甘えるような皮肉を吐く以前に。酔いの人として小生は、酔いながらあのような媚び発言を弄した事が、酔いの高貴を不当に貶めていたという意味で、許せぬ。田中氏の人格や小説家としての価値などは小生の関与するところではないが、酔いを貶めたという意味で、許せぬ。

 サイクロックというバンド…日本。2011。頭空っぽのオールリーゼントのジャケットの模様からいわゆるサイコビリーやパンカビリー、ロケンロールと称する復古主義的動きに、無知による反体制というパンク的能天気の幻想をまぶした、90年代あたりからお洒落気質に沿うようにして流行した芸達者な音楽性かと思いきや、全くよい意味で裏切られた快作である。大坂城の蛸石に押し潰された疣蛙が絞り出す断末魔の読経のような尋常でない濁声が、一挙に、サイケデリアの本然の獰猛へと誘う。あんな声で、普段の生活は大丈夫なのかと他人事ながら心配になる。ただただ明るいのかと思いきや、やはりサイケデリアの根本を根強く悟っているのか、各楽曲の表層の疾走感に反して、カラッと陰鬱な、光は望めないが罰当たりな陽気だがダウナーなのである…光無き明るさ、としか言いようがない。光無き明るさとは黒である。言わずもがなと思われるが、ロックの底は、黒黒としている。それにしても気ぜわしいウッドベース…粗忽にも耳道に闖入してしまった金蠅がとち狂ったかのように飛び回るからますます外に出られないから慌てぶりが過度に増長される出口の無さ、落ち着きの無さは、小賢しくは無いが小気味良い小者感、チンピラ感を呈する実直がある。チンチラチンチラと兎に角うるさいく、the 13thフロアーエレベーターを思わせる。ただ、如何せん、演奏がきっちりとうますぎる。おしむらくは、もっと爛れ、崩れてもよかったのではなかろうか。しかしそうした崩れをも会得すると過去のサイケガレージになってしまうので彼らの音楽の意味がなくなってしまうから云っても詮無い事である。その、日本人的職人的うまさが、山椒は小粒でピリッと辛いといった範疇に閉じ込めてしまい、収拾のつかぬサイケデリアの荒野を遠のかせ、せいぜい憧憬させるにとどめているのである。

MIYAKAWA POPEYE:guitar&vocal
SHUHEY:drum
KO-DAI:w.bass


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