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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「the mothers of invention/absolutely free(1967)rykodisc rcd40582/2」 2009年2月15日 音春


昨日は、結局広島の段原骨董館には行かず、不意にテレヴィジョンのCMに現れた福山での骨董市「福山の市」@ビッグローズ、に馳せ参じました。詳細は後ほど報告申し上げたいが、品物と小生との闘いはさながら道無き人生に似たり、確固たる信念が無いと己が欲する品をお助けする事ままならず、ほろ苦い思いでありました。

 さて、マザーズのセカンド、アブソリュートリーフリーである。米国。このアルバムは、小生が聴いたロックの、まさに一番最初であった。ロックをまだ意識的に聴いていない頃、ロック界のだいたいの見当をつけるために、何の予備知識も無く、レンタル屋で借りてきた最初の一枚が、この、ザッパ&マザーズのセカンドだったのである。その時の印象は忘失済みであるが、以後しばらく、ロックとはこういうものだと思っていた。これが通常のいわゆるロックだと思っていた。雛のすり込みとでも言うのだろうか、その功罪は兎も角としながら以後種々のロックを聴くにつれ矯正される事になるが、それでも小生のロック観は、ザッパ音楽が基準となってしまった。レンタル屋で借りたこのCDをカセットテープに録音し、部屋や車の中で幾度と無く聴き続け、挙句テープがついに千切れてしまったので、本CDを買い直したのが8年ほど前の事か。すり込みといえば、ドラえもんの「すり込み卵」を思い出す。意中の人を件の卵に入れ、一定時間後に卵から出てきた時に初めてその人が見た人物がのび太であれば、その意中の人はのび太を好きになる、という、犯罪的道具である。うろ覚えであるが、案の定、ジャイコがうっかり?卵に入ってしまってのび太にラブとなったりてんやわんや、上手いこと静香を卵に入れたのび太だが、タイミングが合わず、再誕生した静香は何故か出来杉と出会ってしまい、すり込み功果で出来杉ラブとなった静香を、出来杉は、「そんな道具のせいで好意をもたれても受け止められないよ」的に諌めて、静香は「ますます惚れてしまったわ」などとなる、その一部始終の隣にいるのび太は愚かしく喚く、という話だった。のび太の愚かさが抜群の好エピソードであった。
 話を戻そう。絶対的自由。ビートルズ無しでも成立しえたザッパであり、既にファーストからして、19世紀末から奮発し始めた実験音楽への意識が高い作品であったが、このセカンドでついに爆発した。いかがわしくとても改めて言葉では出来ぬほど卑猥な歌詞を擬人化したアメリカやアメリカ大統領に吐き続けるチーズ臭い白人スラングを良い声で歌うザッパらと共に踊る楽曲にはすでに継ぎ目だけで連なる連続性、各々の完結を拒否して一つながりの疾走となって万華する目くるめく音世界が野糞の如き仲間の下品な男たちの吠え声に混ざって、現代音楽もガーシュインもジャズもブルースも一緒くた、かと思いきや、ザッパは様々な音楽を取り入れたがそれは種々の異種音楽を高速で編集して繋ぎ合わせる編集能力に長けていたに過ぎぬ、楽曲の構造自体がロックと西洋古典とジャズの未分の合成で成立しているとは言い難い、そうした試みの達成はヘンリーカウを待たなければならない、という批評を読んだ事あり、確かに60年代終りまでのマザーズ作品はそうした編集の域を出ぬかも知れぬ、しかし70年代初頭から半ばの、例えばマザーズのロキシー&エルスウエアなどは、楽曲構造自体に異種音楽の遺伝構造が刷り込まれていると反駁したい、と小生考える。それにしても、たとえザッパであっても、ブルース形式から遠く離れてしまった音作りにも関わらず、ドラムとベースがずんどこ煽るだけで、如何ともしがたくブルースやアフロ音楽が聞こえてくるのは何なのだろう。現象以外の秘密があるのだろうか、ここが重要である。
FRANK ZAPPA
RAY COLLINS
JIM BLACK
ROY ESTRADA
BILLY MUNDI
DON PRESTON
BUNK GARDNER
JIM SHERWOOD

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