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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「the 13th floor elevators/the psychedelic sounds of the 13th floor elevators(1966)」 2008年8月16日  仏滅 曇暑

 しこりでしかない後味の悪さは恥の核となって、もう止めたい、と観念しつつ。
恥の思いを重宝することも内面性の発明ではあり、恥の音楽であると喝破したい
このロックという音楽を彷徨する上で必至ではないかと慰めようにも空しいばかり、胆力不足いかんともしがたく、ザッパのサードは見送り相成った。

 せめて、囲碁の布石のごとく、後で効くのではないかと効用願って同時に挙げておいたthe 13th floor elevatorsに言及しないわけにはいかぬ。ロッキー・エリクソンという米人が首魁のようである。ガレージサイケと言われもするバンド群の雄であるのは周知のとおり。俗にサイケといえばサンフランシスコを思いがちであるが、こちらはいわゆるテキサスサイケである。テキサスという土地柄だけでも、先に挙げて置いた、サイケの20概念の多くに合致するだろう。無論音楽性も。サイケ第⑱~⑳概念以外の、①~⑰の全てが、このアルバムを説明するのに事足りる。寧ろ、これを表現する必要に迫られて①~⑰概念は羅列されたのであった。①~⑳概念の全てを包括しうるのが、ザッパの初期作品群である。
  
 the 13th floor elevatorsのこのアルバム、地獄の底で凶暴な叫びを上げるわけだが、気になるのは、原住民の楽器と思しき、名は分からぬが、かつてNHK工作番組でのっぽさんに侍る、ムックのような毛むくじゃらの大型の獣が高速でホクホク苦しげに唸っている音である。殆どの楽曲で聴かれる、他のバンドでは聞いた事がない珍妙な連続音が殺伐としたギターに絡む様は異様である。そして光は無い。視力の退化した生き物が暗闇の底で執拗にバンドする有り様は、この殺伐は、まことに気持ちがいいし、ほくそ笑むに足る。とにかく荒んだ歌、男たちの凶暴ながなりに癒される小生である。時に、この男たちの歌は、優しい。光を、逃げ道のように陰をも作るが所詮大仰な恥知らずの光を知らぬ者たちの、めしいの優しさ、安直に理解せぬし労わりの実践もしない夜の優しさである。
  
 (①~⑳)-(①~⑰)=⑱~⑳=言うなればフラワー(あるいは平和)、である。フラワーは単なる花ではない、日本帝国における敷島の山桜花のように、サイケの重要な側面を伝える概念である。ただし、このピースフルなフラワーは凶暴と不可分である。サイケと呼ばれるものには凶暴性を欠いた産業フラワーロックものもあれば、the 13th floor elevatorsやブルーチアーのように暗闇での殺伐にのみ志向して突っ走った連中もいた。フラワーは光の下に咲く毒の花、とでも暗示しておいて、フラワーと凶暴と平和に関する話はまた後日。13thfloor.JPG







the 13th floor elevators/the psychedelic sounds of the 13th floor elevators(1966) fuel2000 302 061 3202

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