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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「frank zappa/hot rats(1969) rykodisc rcd10508」 2009年9月20日 奉涼


 なんか、サッカーの、中田英寿元選手が、彼のテイクアクションなる催し絡みのチャリティとかで儲けた収益金を、日本の伝統工芸界に寄付するらしい。いつもは物資不足の子どもらにサッカーボールをあげたり、地球温暖化対策に効くらしい腕輪を人々に配ったりしていた中田元選手も、数寄に目覚めたのかしらん。
 面白い漫画「クロマティ高校」を世に残した野中英次先生が原作、亜桜まる氏作画で、最近、マガジンで「だぶるじぇい」なる漫画が連載されだした。伝統芸継承部で奇妙なことが起きていた。コミケ風美少女絵の中で、劇画黎明期の、たとえばクロ高の神山的な部長がどうしようもない展開する、注意したい漫画である。
 ジャンプのうすた京介先生「すごいよマサルさん」、マガジンの野中先生「クロマティ高校」と並んで面白い、サンデーのながいけん先生「神聖モテモテ王国」、書店で長い間見ることなかったが、最近、文庫化されて普通に売っていた。
 コンビニで漫画を立ち読みする荒んだ階級にいつのまにか甘んじる小生。ビジネスジャンプなど見ると、漫☆画太郎先生が健在であった。画太郎先生のきっついネタやギャグは、赤塚不二雄や、画太郎先生と同じく汚い絵で人間生活の真実を暴き立てる片岡東陽と双璧をなすが、過激すぎて、買ってまで読もうとは思わなかったが、ずっと、それでも、尊崇の念を抱いていた。ビジネスジャンプ内の、特に見所の無さそうな他の漫画とは隔絶して、久しぶりの珍遊記面白かった。全裸のお婆さんの乳首を食いちぎって脱糞する、などといったかつてのハードコアはたまたま無かったものの、その毒気は健在、そして軽いおかしみのようなものまで発揮されていた。全裸の汚い男らが爆殺されてもいた。今の自分のような、ささくれ立った心の持ち主を癒してくれるのは、画太郎先生の漫画しかない、と思うようになった。そこまで追い詰められている小生、早速買って読む所存。
 野菜の中で生活丸出し感が一番恥ずかしいのは、長葱だろう。買い物の帰り、買い物袋から、ぴょ-ンとあられもなく飛び出た葱を、我ながら何とも恥ずかしく思う。折り曲げて無理矢理袋に押し込めば鮮度に影響しそうだし。学生の頃、石州瓦の豪農屋敷が点在する国道の狭すぎる歩道を自転車でえんちらおっちらする先輩が背負ったリュックから、ぴょ-ンと、臆面もなく葱が飛び出ていたのを、車を運転しながら目撃したのを思い出す。
これが今週の、小生の内的ストレインジ・デイズ。

 ホット・ラッツ。1969年。ジャケットの人物は、確か、ザッパ家の使用人の家族の、ドラッグか何かで気の触れた人である。ザッパがマザーズ解散後に初めて取り組んだ作品である。有名な話であるが、音楽雑誌メロディメーカーの人気投票で、英国の彼らの「アビーロード」を抜いて一位となったキング・クリムゾンのファースト「クリムゾン・キングの宮殿」をも抜いて一位となったのがこの熱い鼠どもであった。良くも悪くも腐れ縁でつるんできた、中には廃人同様の言動の者も居ただろうがその音楽の出鱈目なる凶暴とラディカルで真摯な欺瞞的土着の右に出るのはいないだろう希代のバンドを解散し、後にザッパの常道となるがオーディションで彼の耳に適った者らによって結成された。ザッパ人脈論は本稿にとって重要ではないので置くが、二曲目の「ウイリー・ザ・ピンプ」は盟友キャプテン・ビーフハートがボーカルの、松脂べったりの松の枝を喉に突っ込まれたような、あくの強いヴァイオリンが人を引く濃厚人食いブルース以外は全てインスト。ビーフハートは王道無きロック史の最重要人物、点在するサイケデリアの点在性そのもののような野人であり、ビーフハートにしてみれば、それなりにショウ・ビジネス業界でうまいことやっているザッパすらも浮ついた小利口編集野郎に思えるかもしれない、そういった無比の人物であるからして、詳論はまた控える。
 ジャズロック・アメリカーナとして聴かれただろうこのアルバムのインストは、その、地に足の付いた下品さも厭わぬ垂れ流しぶりといった意匠を剥ぎ取れば、ジャズというよりも、西洋古典音楽の編成といった安定した楽曲構成地盤が見え隠れする。ザッパの音楽に文句をつけるとすれば、リズムが時に統制的に過ぎるといった点が挙げられるが、ザッパに、更にジミ・ヘンドリクスの才までをも求めるというのは贅沢に過ぎよう。ザッパとて骨盤が達磨落としされかねぬ容赦なく荒れたリズムを繰り出すこともあった。ともあれ、如何に地盤は安定していようとも、そのアメリカ原住民的古層から迷い出る臭気は口臭でありきつく、殺伐とした獰猛を放し飼いにする無用心極まりないものである。初めから誰もついてゆけぬスピードで走り去っていた時期もあったが、本作では、茹で蛙のごとく、微温湯で湯治でもしていた遊興気分の聴衆が、いつの間にかぐんぐん盛り上がるビートで熱せられてからりと、あるいはさっくりと揚がった天麩羅のごときに、ノセラレている、という事もある。しかし、スタジオ的な洗練、品行方正な退屈も否めないが、そう思っていると矢張り、渋柿のごとき渋みも聴こえ、油断はならない。今までの、小汚いが突拍子も無い事やってもウケテくれた客ばかりでなく、良識に守られた小市民にまで客層を広げようとした営業努力なのか、あるいはそういった客層にまで己のアクを浸み込ませようとした巧妙な悪意なのか、分からない。

FRANK ZAPPA :guitar, octave bass, percussion
IAN UNDERWOOD:piano, organus maximus, flute, all clarinets, all saxes
CAPTAIN BEEFHEART:vacal on "Willie The Pimp"
SUGAR CANE HARRIS:violin on "It Must Be A Camel"
JEAN LUC PONTY:violin on "It Must Be A Camel"
JOHN GUERIN:drums on "Willie The Pimp","Little Umbrellas" & "It Must Be A Camel"
PAUL HUMPHREY:drums on "Son Of Mr.Green Genes" & "The Gumbo Variations"
RON SELICO :drums on "Peaches En Regalia"
MAX BENNET:bass on "Willie The Pimp","Son Of Mr.Green Genes","Little Umbrella","The Gumbo Variations" & "It Must Be A Camel"
SHUGGY OTIS :bass on "Peaches En Regalia"

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