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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「count five/phychotic revelation(1966~1969)big beat cdwikd230」 2008年12月14日 先負 先春 

countfive.JPG先週、国宝を創った男 六角紫水展を広島県立美術館に観覧相成った。日本漆界の、蒔絵、螺鈿や金泥といった装飾を、華美が過ぎて付いていけぬと憤慨していた小生であったが、いざ実物を見ると、華美に思われがちな螺鈿の光がしっかりと、文字通り漆黒に打ち沈む控え目を呈しており、渋い。蒔絵の棗を欲する小生である。分かりきった事ではあったが、江戸以降の、ペンキの如くてらてら黒いだけの黒楽茶碗が侘びから程遠い現実もあれば、花鳥宝珠文を散りばめた漆の小箱が何とも落ち着いた佇まいを見せることだってあるのである。広島は因島が生んだ名工、六角紫水の偉大さについては各自勉強していただきたいが、岡倉天心に導かれて発足当時の東京芸大に在籍し、漆部の古法を極める傍ら、廃仏毀釈の憂き目でぼろぼろの各地の仏閣を訪ね歩いては国宝認定に尽力し、中尊寺金色堂の螺鈿や厳島神社の朱塗りを再興した人物である。

  さて、カウント・ファイブである。米国はカリフォルニア州サンホセ産。ジャケットなぞ見るとマザーズ オブ インベンションのフリークアウトライブの前座を努めており、チャートでもガレージ勢に珍しく首位を得たりと人気のバンドだったようである。本当はエレクトリックプルーンズの紹介を致したかったがコレを先に写真取りしてプロ愚に登録したものだから仕方ない気持ちである。ガレージとはいっても暗闇地獄で水子がしゃれこうべ肋骨ギターをかき鳴らす差し迫った怒りをずぼらに発散する風でも無く、育ちのいい学生さんがブリティッシュ勢に感銘してやり出した卒の無い健康ロックといってしまっては如何ともしがたいが、しかしそうはいっても聴くべき所にパンチを効かす気骨がガレージという出自に根差した黒い攻撃性をギラリとさせるに吝かでない。メタルとなると憎悪を叩き付け出すがこの頃はまだどこか陽性の怒りに留まっているのが好悪分かれるところであろう。先週挙げたミュージックマシーンでもそうであったが、ガレージの緊急的怒りがパファッと眠りに入る時、安らかなサイケデリアの不敵な夢が獰猛に炙り出される。如何に人気のR&Bガレージ学生バンドであろうともそうした音楽の宿命から免れ得ない誇りが固持されているのである。結局、ひたぶるにかっこいいバンドである。比べる必要など皆無であるが20年前からのコンビニ音楽の、こうした宿命をも負いきれぬほどの誇りの無さ、自縛する美意識の無さにはほとほと嫌気がさす。いや、むしろ、どこまでも資本と支持率におもねようとする自動的意識の強固が凄いのであろう、すなわち商魂である。下らないこと書いたので宿命云々は世迷言と思うてくだされ。ともあれ、ガレージもサイケもロックの様相を語る上で重要な概念であり且つ表裏を成すあらましである。また、目印のために、ブルースと、ブルースが片親とされがちなリズム&ブルースとの間に疑問のクサビを打ち込んでおいてまたの再会。

  count five
  john "sean" byrne:lead vocals, rhythm guitar
  kenn ellner:lead vocals, harp, percussion
  john "mouse" michalski:lead guitar
  roy chaney:bass
  craig "butch" atkinson:drum

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