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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「巨人の応援テーマ」

爽快な秋晴れが続いて政治的に先鋭的になれない時節…例えば深刻な事実を伝えるたった一枚の写真や一流の絵画でさえも商品の包装紙に使われ、破られて捨てられてしまう諸芸能…こうなったら巨人が負けさえすれば溜飲がさがる、胸がすくというものであるが…ファイナルステージをテレビでのんびり鑑賞…音程は表せないので擬音だけで表すとこんな感じなのか読売巨人軍の応援「オーオオオーーオオオーーオーオーオーオーオーー」総じて、応援客が出すのに苦痛を強いる低音であり、畢竟全体への奉仕を強制する自虐的苦痛を強いる、起伏の少ない低音である…応援客も其の低音を出す苦痛に倒錯的快楽を得ている自虐が垣間見える…本当は何の価値も無いが兎に角大きいものの権威を守るために自己犠牲を強いる、その自己犠牲が達成された時に大勢を覆い尽くす悲愴且つ壮大な美しさに自己陶酔しており…胸糞悪いものであった。加えて、オレンジのタオルをぐるぐる回す応援スタイルも、湘南乃風とかエグザイルなどを思わせて、唾棄したくなる。今、この国が問答無用で根こそぎ押し流されようとしている劣悪なる時局に今宵は深入りする気力はない…ヤクルトおめでとう。NHKで特集を二回もきっちり視聴させて頂いたが森陶岳凄いよ、ほんとに。もうやり尽くした感のあった、備前焼の閉塞状況にあって明らかに突破口開いていたよ。開始早々陶岳氏曰く「巨大窯でしか、焼けないものがある。」冒頭のこの一言だけで胸が篤く焼けそうで悶絶…古備前の美への対抗心が嵩じて古の巨大窯を構想、発掘調査から桃山期の備前の共同窯が50m規模であったことから氏が年々築窯する度に大きくなり続けついに今年、全長85mの直炎式登り窯が完成、火入れ…6年かけて轆轤を引いた作品2000点あまりを数か月かけて釜詰め、3000トン(!)を超える薪で焚く…まさに空前絶後前代未聞の大窯でうまく焼ける保証ゼロ、温度が上がらない、あるいはバラつきが大きすぎて割れたりしようものなら身代を潰すは必定なのだから…一世一代の大博打である。日本酒の杜氏が、蔵まるごと造りにしくじり蔵主から身代潰しの汚名を着せられ自決したという悲劇話を思い出すが…これほどの規模の量の作品=製品を、化学工学的にはいわゆるバッチ式(回分式)で一挙に作ろうというのだから、無謀な博打と云うより他ない。窯焚きの途中、左右で当然、看過できぬほどの温度のバラつきが生じるという危機には見ている此方も思わず息をのむ…工程の節目ごとに釜からサンプルを取り出して焼き具合を確認…従来ではありえない程、1cm近くの灰が備前サンプルに降り積もっているのを見て若い女性弟子や古参の弟子までが「どうしようどうしよう」と狼狽える場面…此の段階で灰が溶けて釉薬になっていないのも問題だがこのまま溶けきらないと屑が小汚く付着した態となって見るに堪えない代物で終わるのだから…陶岳氏恬然として曰く「竹を一束もってこい」丸々と恰幅のよい氏の其の泰然自若ははさながら本陣の信玄か家康か、といった態であったが…弟子たちが、熱を上げるのに木の薪より即効性が高い竹の束をどしどし投入…その結果、サンプルに降り積もった分厚い灰は狙い通り溶け、見事な自然釉…若い弟子は兎も角、古参の弟子などはこうした場合の対処法には知悉しているはず、その証拠に薪だけでなく竹束もびっしり準備しているのだから…だから此れは陶岳氏に華を持たせるための、テレビ的な見せ場を作るための茶番だと分かってはいても、胸が篤くなるシーンなのであった。窯出しの日…従来窯ではありえない程の胡麻がブシャーブシャー垂れた備前大甕群のその向こうに仄白い一角が…吸い寄せられる氏が掴んだのは…まさに前代未聞の薄白き花入れ…無論、予め白泥や長石釉を掛けたのではない、江戸時代の細工物などで予め半透明の釉薬を掛けた、いわゆる白備前というものはあるがそれではない、備前土に掛かった自然釉にして白い呈色という…奇跡が…顕現…灰が溶けながら重力に逆らうほどの炎が下から横から無茶苦茶に吹き付けてくる段違いの熱量が珪素結晶中に気泡を抱かせることで、微小金属によって仄かに紅を差しながら白濁して見える自然釉が其の花入れの表面を暴れ回ったと小生推察する。氏も「炎が暴れている!」と云うし…だから其の備前花入れに定着した白濁釉をよく見ると上から下から横からあらゆる方向からさざ波がさわさわ溢れ、皺より、泡立って捻じれているのである…小生、此の釉調を「白胡麻」と名付けたい…弟子たちが窯出しに忙しい中、自己の興奮で廻りは眼中に無い氏は一目散に其の花入れをいそいそと持ち出し…隣の自宅に馳せ帰って床の間のあちこちに備前白胡麻花入れを合わせてみるのだった…陶岳氏曰く「化け物ですよ、此れは…」因みに氏は、無釉を誇る備前にあって、備前土に予め鉄釉をてっぷり掛ける「黒備前」なるものを創出しており、小生、恐らく森一派の(ひょっとして伊勢崎系かも)此の黒備前系の猪口を所持しており…数ある猪口蒐集の中でも天下一として最も頻繁に愛玩愛用している。黒い鉄釉の下からでさえも滲み出る下地の備前土の黙った骨気が釉薬の黒を玄妙に深めておるし、手触り口あたりもある時はざらり、ある時はつるりとして飲む人を魅了してやまぬ得も言われぬ逸品である。それにしても森陶岳氏の「白胡麻」は全く新しい…千年以上の歴史を有する備前焼の新境地として称賛したい。

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HN:
仄々斎不吉
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非公開
自己紹介:
 数寄の天下を獲らんがため号するは、仄々斎不吉。

 三千家(裏千家・表千家・武者小路千家)及び諸家茶道流派に例外無き教条点前に豪を煮やす一方、近代数寄者(益田鈍翁、高橋掃庵等)以上に見立ての幅が広がった現代茶会に更なる侘びの新風を吹き込むべく研鑽を積む。

 利休の、無産有産といった階級をも併せ飲む侘びの骨頂に根ざしながら、そうはいってもありがちなブルジョア金満足だけは厳に慎みたい労農茶人。

 草木に臥してなお風雅を愛でる仲間であるために、茶の湯だけでなく、路上観察、テレビ跋渉、音楽及び納豆評論、 30人31脚批判もこなす趣味人にして愛陶家。 猫舌。


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