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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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疫病に思う

吹けば飛ぶよな当座の方針を構え終えた処で何やらかしましい世情を見回してみるといつか見た光景の繰り返しで、人が年を経る毎にボけて来る理由がよく分かる…実際、此度のコロナ禍は、東日本大震災、とりわけ未だに先の見通せない原発事故に比べれば大した事ないように思われ…放射能にしろ、ウイルスにしろ、トイレットペーパー買い占めにしろ、其の原因に人的要因が絡んでいる可能性はあるとは云え其れ自身は自然現象である事象に対する人間社会の右往左往と云うのは…織部助曰く「会う顔会う顔皆同じだと耄碌するわ」の言の通り、年を重ねる事でこうまで同じ事の繰り返しに付き合わされると確かに認知症になるのも無理は無いのは、偏に同じ事を相変わらず繰り返す社会が一因なのだろう…私としては、ことコロナに関しては基本的に自然現象であると云う認識に立つ。従って、政府機関や行政が意図的に発生させたものではないはずだから、基本的に行政の責任ではない。むしろ、こういういざと云う時のために、感染症対策として専従で人、モノ、金をつぎこんで研究していたはずの自然科学者らに対しては、一義的に責任があると思ってはいる…地震のように物理的破壊力が凄まじすぎる災害に対して地震防災の専門家のみに責を負わせるのは酷かもしれないが…基本的には人間の振舞いを適切にシミュレートすれば何とかなりそうな防疫に対しては、専従自然科学者が税金を使って獲得した知見の効果を期待する事に無理はないはずだと…しかるに、まずはクルーズ船の件に関しては、どうも専門家の知見が前面に出ることが無かったから、何となく怪しい連中は船に閉じ込めて様子を見とけ、と云うような、科学的知見に基づかない大衆的思い込みに迎合した行政のその場しのぎのやっつけ仕事に思えたから、表に出ない専門家集団に失望を禁じえなかった。今となってもあの状況で正解を出すのは困難だったのかもしれないが…少なくともアメリカはあの顛末を失敗と見なして即座に自国に寄港した感染者を含むクルーズ船乗客を陸に降ろしているし、実際にあの顛末でおよそ三千人中700人くらいの感染者を出して数人の死者を出している結果は重視すべきなのだろう…専門家集団はあの時、すかさず、想定される状況や対策案に対して、疫学的知見に基づく感染度合いのシミュレーション結果を公表し、其のうえで船内隔離や他の方法を提案すべき立場にあったのだ。まったくそうした提案が専門家集団から成される事は無く、なし崩し的に船内隔離だったから、毎日、朝から晩まで感染症研究に心血を注いでいるはずの専門家集団は、自らの無能と怠慢を晒した、恥を知るべき所業としか思えなかった。日本には感染症の研究所はあるが対策組織が無いから仕方がないと云うのは詰まらぬ言い訳に過ぎず、決められた事しか出来ないのであればただの出来の悪いロボット同然であり、人間の研究者であるならば、例え研究専門であっても、其の知見を活かした対策を自ら立案するのは当然ではなかろうか。とは云え、アメリカの、世界最強と云われた感染症対策専門組織であるCDCであっても、感染者を数万に広げてしまい打つ手無しのようだからどうしようもないのかもしれないが…
けれども、ようやく此処にきて、日本の専門家集団は、クラスター、オーバーシュートなどの概念を用いて、感染症対策の表舞台に出てきた事は、遅まきながら評価に値するだろうし、今後の名誉挽回に期待したい。
私見ではあるが、東京と大阪はさっさと都市封鎖、外出禁止にすべきだと思う(スーパーや医療関係は除く)。直接法令で以て外出を取り締まれないのであれば、不要不急の産業が営業したり個人が出歩くならば民事で国が損害賠償請求すればいいとすら考えている。出歩いたり複数の人間で活動すればコロナが蔓延すると分かっているのにそれをあえてやるのであるから当然である…。まずは新幹線は全線停止。空路も高速道路も、物流以外は遮断すべきである。
未だ緊急事態宣言を出すレベルには無いなどと悠長な御託を並べているが、緊急事態になってから緊急事態宣言を出すのに何の意味があるのか。感染症対策のためには、緊急事態の到来を未然に防ぐために宣言するからこそ宣言の意味があると云うものだろう。かつて原発事故の時、件の事態をメルトダウンと呼称すべきか否かで一悶着あったが、現象を表現する事で事実認定してしまうかどうかの瀬戸際でのレトリカルな政治的攻防などと云う、実際に起こっている深刻な事態への現実的な対処とはあまりにもかけ離れた政治的形而上学にうつつを抜かすのは愚昧の極致だろう。コロナの件に関しては、例えば学校の閉鎖や自粛要請などの、政権や行政の対応は感染症対策としては妥当だとして、私としては異論は無かったのだが…こういう事だと、雲行きは怪しく思われる…しかし感染症対策においては、一人一人の用心が結局は重要なのだろう…其れが出来ないと、国家権力やシステムの奴隷に自ら成り下がる事を肝に銘じる時だ…事此処に及んで未だに自粛ムード、などと云っている輩もいるが、震災時と違って、今回は自粛要請なのである。震災の時は、自粛が要請されていない場合であるにも関わらず自粛が進んだのだが、今回は自粛が国家から要請されているのだから文脈は随分と異なる。諸外国と違って日本では法整備がされていないから、緊急事態宣言を出しても法的に外出禁止令を出す事は出来ないと云う…だからこその自粛要請であり、個人の裁量=主権を認めつつ感染症予防に協力してくれと云う国家の提案である。此れは、公衆衛生上の公共の福祉の尊重(此の場合は公益と云う言葉を使っても妥当なのだが、此の言葉は此の国にあっては容易に権力の私利私欲に使われるので使わない)であるから、主権者が自ら其の意義を内面化して協力に努めるべき正当性を有する事項である。其れなのに、法律が無いから外出してしまうじゃないか、とか、自粛と云っても何処まで自粛すればいいのか分からないなどと言い訳する事は、私は法律で命令されないと何もできない奴隷人間です、と自ら宣言しているようなもので、今回のような公衆衛生上妥当な公共の福祉の概念さえも国民は理解できないとなると、自民党はそれこそ憲法改正して緊急事態条項を付加し、なし崩し的に国民から主権を奪う事に躊躇しない状況を自ら招いている事にすら無知なのだろう。あのように、私は自分の頭では何も考えられない未熟で幼稚な大人ですと云っているのと同じ無能を国民自らが国家に晒すようでは、国民から如何に主権を奪うかを党是としている自民党から付け込まれる事必至であり、其の事にすらも考えが及ばない蒙昧ぶりだからこそ、厳然たる自粛要請を、事態が異なる過去の自粛ムードに挿げ替えて揶揄する浮かれた自分に優越感を感じる浅はかな倒錯を演じるのである。無論、自粛要請と云う矛盾を孕んだ言葉への反動が生じるのに、歴史的政治的背景があるのは理解できる…戦時の、自発性の強制の最たるものである特攻しかり、最近では森友問題での忖度しかり、此の国で自発性が強制される場合は大抵、権力機構の私的な保身の発動でしかなかったのだから、此度のような、公衆衛生上の正当な自粛要請でさえも警戒的に歪曲されるのは政治の責任でありつつ、そうした政治を許容、推進した国民の責任でもあるのだ…
そうは云うものの、今回の自粛要請の内容は公共の福祉の観点から正当ではあるので、自粛要請と云う概念内の意味的矛盾に反射的に反応して倒錯した否定を演ずるのは得策ではないだろうし、自粛要請の内容に着目した上で理性的に判断すべきなのだろう…先に述べたように、感染症は自然現象であり、人間の社会的理屈とは関係なく専ら自然の摂理に従って蔓延するものなので、専門家が提供する科学的情報を元に、各自が自然の摂理に思いを馳せながら考えて対策すればよいだけである。義務教育を身に着けておれば出来るはずであるそんな簡単な事に頭を使う事さえも反射的に拒否反応を示して行政の上げ膳据え膳が無い事を言い訳にして反動に倒錯する事は、自らが未熟で幼稚な大人である事を表明するに等しい。そうすると、繰り返しになるが、虎視眈々と日本人から主権を奪って一党独裁を目論む自民党は、日本人は総じて奴隷になりたがっていると云う認識を得て、其の認識にお墨付きを与える事になるから、此の程度の事はいい加減自分で考えて行動せよ、と云いたい。従って、特に東京の人は、外出禁止の法律が無いから外出禁止できないなどと云う幼稚な言い訳に瞞着するのは止めて、自らを律するべきである。最近メディアでも此の件に関して蔓延る、法律が無いから云々と云う言説は人間理解に対して本末転倒であり、法律と云うのは信頼関係が破綻した時に致し方なく発動される無残な支配関係であって、願わくば法律などに頼らず社会が上手く回れば其れに越した事は無いのである。
因みに、今回の自粛要請への反動が生じる理由、特に若年世代で反動が勃発する理由は、①先述の歴史的経緯だけではなく、他に幾つか考えられる…
②日本では社会的な同調圧力の方が自然からの脅威よりも遥かに強いと云う事。地震や津波、土砂災害は例外かもしれないが、例えば公の場で天皇制を批判したり無政府共産を宣言する事の方が、ウイルスによる感染死よりも社会的に致死率が高いのである。だからこそ、ウイルスが社会や自分に及ぼす影響を軽視する。
③少子高齢化や地球温暖化、来るべきネットワーク国際競争社会に対して最早成すすべなくおぼつかない年代の者らは、デジタルネイティブの若年層に頼るしかないから、此れまで若年層をちやほやしてきたが、科学的見地から若年層が感染に与える影響が鼓吹され始めてから、ちやほやされてきた若年層に対して急に掌返しで批判の矛先が来て、此れまで甘やかされてきた若年層は反射的に感情的な反動、即ち甘ったれた反抗に走っているだけなのかもしれない。デジタルネイティブと云っても、彼らがコンピュータ技術を発明したわけでもなく、ただ単に幼児期から其れを与えられたが故に其れを上手く使いこなしているだけで、彼ら自体が内在的に優秀と云う訳ではなく、本当はコンピュータを作った上の世代が凄いと云う事は忘れてはならないのだが…其れに、甘やかされていると云っても其れは新卒を無暗に嬉しがる特殊な、そして少年愛じみてサディスティックなオッサン的日本の企業風土だけの話で、当の若年層は、ネットを通じて、上の世代が肌身で感じる事は無いシビアな国際感覚を身に着けているとも考えられるから、頼もしい側面もあるかもしれないが…
④世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし(在原業平)、と云ったところ。春と桜に浮かれざるを得ない日本人の心性ゆえに、自粛要請も何のそのでそぞろに出歩いてしまった風流ゆえなのかもしれぬ。
⑤元気だからウイルスへの耐性に自信があり、有り余る体力を消費して今を楽しみたいだけ。
⑥コロナ対策を声高に訴える者=基本的人権とか云う者=リベラル=反自民と、若年層は考え、此処では其の内実の分析は省略するが基本的に反リベラルで自民翼賛の若年層が、自粛要請への対応をリベラル的と考えて政治的に、あるいは生理的に忌避している。
いずれにせよ、疫病に関しては科学的に自分の頭で考えて行動する事が肝要である。
話は変わるが、コロナのせいで今は茶の湯受難の時であろうと推察する…狭い茶室で数人の大人が濃茶の回し飲み、はコロナ的には不謹慎だろう…



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