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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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歌の終わり

今週もいろいろあり過ぎてまとめることができないほど…生活俳諧とやまと歌、そして今月の安全標語でお茶を濁す。

 夜干しのタオル朝日にはためけり

 露草は摘みし刹那に散りにけり遅れじと手向ける露はあわれ白々

(注解…早朝、秋草を愛でようと野遊びに出かけたところ、これからの季節一層深まるだろう蒼空の滴の如き青を湛えた露草の可憐に心惹かれ、折しも今日の午後訪れる予定の御客様へのもてなしのしつらいにふさわしかろうとも思って摘み、ビニール袋に乱暴に突っ込んでいると、あわれ悲しや五分と経たないうちに花がしぼみ散ってしまった。人の興趣とは無縁の処で、野に咲く花は野でしか果てぬとばかりの野の矜持を突きつけられる。野にあってみれば白々ときらめきを点在させる秋の澄明な露を朝にいただき気持ちよく潤うのだろう露草の無念を思って、せめて、己の恣意的な無神経を悔いる小生の心の涙が秋の白露であってくれたらばと、涙を白露に見立てて手向ける気持ちが、摘まれたせいで枯れゆく露草に通じてほしいと遅ればせながら思う。しかしながらさような心の涙など、野の草々や花々にあってみれば欺瞞にも及ばぬ白々しいものであるよ。野に咲く花が黙っているがごとく、何も言わず黙って悲しめばよいものを人間の業というものは…)

 とっさに出したその腕が二度と戻らぬ重大災害

(注解…工場に貼りまくられた今月の安全標語。とっさ~戻らぬ、までは、事故に遭遇し、あるいは自ら事故を起こした結果、腕を切断する羽目になった労働者個人の立場を斟酌しているが、最後に、重大災害、というところで、「災害」であると認定する事業組織の立場がぬっと出てくる。いくら重篤であっても「怪我」であるならば個人的なものである。しかし「災害」とは社会的なものであり責任関係その他諸々の社会現象の範疇が入り込んでくる。一見、労働者の腕が失われるという悲惨を防ごうとする労働者を労(いた)わる視点を見せながら、そうしたことを全く否定はしないのだろうが、しかし、結局のところ、「災害」という言葉を使うことで、「事件事故が起きたら会社の責任になってマスコミやお役所など他の社会からいろいろ文句言われて迷惑なのだからいい加減にしろよ」という、組織保全に務める組織側の立場が強調され、事故に遭う可能性のある他ならぬ一人の人間への思い、という心配りは薄まることになる。ようするに巧みに隠蔽された欺瞞の歌である。なおかつ、そうした意味を標語にして貼りまくることで、組織側の視点に過ぎぬ考えを個人の考えにまで刷り込ませ、自分個人の考えがそのまま組織側の考えでしかなくなったような文字通り組織的体制的大勢的個人を増産しようとしている無意識の意図がうかがえる。こうしたことを無意識にやっているからやっかいだ…しかも、この標語は会社側が一方的に作成したものではない。会社側からの応募要請があった上で一般社員が一人一つずつ以上作成した標語の中から会社側が優秀作として選定したものであるから、体制の構造はより複雑である。)

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