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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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横道編「meat puppets/meat puppets(1999)rcd10466」麗し



 うっかり懐古ボッサ・ノヴァ聴いてしまった事も含めてやっぱり先週の出来事・・・それは自分にとって苦しいだけの経験ではなくむしろ喜ばしい、前向きのような出来事であってもプラスだろうがマイナスだろうが出来事の絶対値に滅法弱い小生は途端に衰弱、へなへなといたたまれなくなり、辛いので社会社を心の風邪で休む生き地獄の月曜日・・・。たいした地獄じゃなかろうに・・・。その時間を利用して己の為す処に励めばよいものをかような殊勝な心がけもすぐさまぽしゃり、一人、布団の中で怯え続ける無駄な一日を過ごす(ゴキブリホイホイを緊急配備するため少しだけ外出)。テレヴィはスカイツリーと日食のことばかり、どうでもよい。青林工藝舎の「青春うるはし!うるし部」面白すぎた。久しぶりに漫画で笑う。漆芸の基礎知識もみっちりつく、首が太過ぎの稀有なギャグ漫画である。またしても、余市を一週間以内で飲み干す。今宵も、己の血液の艶を出すために、琥珀色の飲物を嚥下する。指先から足先まで熱を帯びて宙に浮くような、しかしどっしりと重たさもある痺れるような熱い低空飛行感覚が忘れられなくて。今宵はユイスマンスの「さかしま」に浸りたいので手短に終わらせたい。どうしようもない退廃物欲骨董小説である。ああ、油絵描きたい。そんなことやってる暇は無いのに、無性に描きたい。描き始めるべきか、懊悩冷めやらず。画題は、寿司あるいはピザ。それしかない。金曜日の夜の、和久井映見主演のドラマ「もう一度、君にプロポーズ」は、よい。尖りの無い、ベタな設定の、40代向けの大人恋愛ドラマを、琥珀質の魅力を滲み出す和久井映見が好演している。そうしたドラマでしっとりとしっかりと主演すべきだとかねてより切望していたので、やっと、物のわかるプロデューサーがやってくれた、と感謝している。とまどい、恥じらい、勇気を出して一歩踏み込み、恐れ、悲しみ、吹っ切れ、悔い、とまどう、ほどよくくすんだ女性の機微と艶、思いがけない可憐を醸し出させて彼女の右に出る者はいない。次期候補としては、裏 堀北真希として光背を拝むどころか月光のためらいを独自に醸し出す谷村美月くらいである。谷村美月は最近は色物的なドラマや映画が多いようであるが(「たぶらかす女」などの・・・そうした「ドサ回り」も厭わぬ汚れた仕事ぶりもむしろ彼女の演技の肥やしとなること必定)、和久井映見と同様に本来ならば地味ながらしっかり見せてくるドラマなり映画なりの主演で、その、曇天の魅力を滲み出してくるいぶし銀の役者なのである。古本屋で、大東亜戦争時の、日本人画家による油絵の戦争画の複製が17枚で3000円ほどで売られていたが、買っておくべきであったと後悔している、昭和の戦争画収集、というのも自分のテーマの一つではある。現物はどうしようもないがこの分野はあまり画集でも体系的に取り上げられることが無いので、雑誌のきれっぱしなどで遭遇すると一応蒐集する、という手法に頼るしかないだけに、「日本の美術」という雑誌のバックナンバーが重すぎるのと金を使ってしまったゆえに買う気が失せた自分に腹が立つ。

 だいたい、イエスのアルバムをほとんど輸入盤で所持しているのがいけなかった、ということが、ハードロック編の最初の障碍となっている。輸入盤は安いが歌詞の日本語訳がついていない。日本版だったら日本語訳がついているからそれを下訳として改めて自分の翻訳を醸し出す、という早業ができるのだが、輸入盤だから原詩を一から翻訳しないといけないし、ネットでイエスの歌詞を翻訳しているのも見つけはしたが一部に過ぎず、時間がかかり過ぎるのでいっそ日本語版を買うしかないのか、という状況なので横道編。ジャケ買い。ミート・パペッツというバンド。英米のどちらか・・・。ザッパの全集を出しているライコディスク特有の、緑色の樹脂パッケージである。ジャケットの絵面も、毒々しいまでの鮮血である。ソ連映画の「石の花」を思わせる、人工甘味料たっぷりの古格をむせらす、埃をまとう下地で尚鮮やかな、捨てられたドロップ箱(採取されたが標本にされる前に忘れ去られた、珍しい虹色の昆虫が有限の飴にたかってびっしり死す)・・・。ガーベイジ(ゴミ、クズ)系パンクとでもいうべき音楽性である。分かっていながらついに起きてしまった日本国債の大暴落が引き金となって古典的な、銀行への取り付け騒ぎへと恐慌する民衆のけたたましく浮足立った暴走に踏み潰されぐちゃぐちゃになりながらも残留した、路上に咲くラフレシアの如く、爆発で木っ端微塵となった小豆色の花弁が腐乱肉片、小汚くアスファルトにこびり付き獰猛な臭気を、折悪い小糠雨で冷めるはずもなくむしろ糜爛を加速させながら鶏肉の腐った臭みを濃くしてくる。瘡蓋を拒絶するじゅくじゅくの傷口は遺伝子異常の肉腫のようにてらてらと剥き出しに桃色に張る。鼻の穴を塞ぐ青洟の出し入れを呼吸と同調させる律儀な馬鹿馬鹿しさを意に介さず呂律を回さぬ狼狽えを無性にがなる殺伐とした、知恵よりも遅い痴鈍の吠え。燃える際に縮む反古のように解き解すためにあらず、いたずらに雁字搦めに縺れんとする吃りのドラムス・・・。遺品系リサイクルショップで激安だったからたまたま買ってみたギターの音を取りあえず増幅したらこんなだった、という程度の、こだわりに無頓着な、ゆえに生々しいギターのふてぶてしいざっかけなさ。いつの世になっても時間的にも空間的にも点在せざるを得ないサイケデリアの徒花の勃発である。古墳から大量に出土した銅鐸の塊のように大量に出土した、切れ味を放棄したにも関わらず荒んだ動物の牙の塊。

curt kirkwood:guitar,vocals
cris kirkwood:bass,vocals
derrick bostrom:drums
steve thomsen:keyboards

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