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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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春の陽気…

ぽかぽかした陽気に誘われて焼き芋を買いに行く散歩道…一際濃い香りを辺りに漂わせていた蝋梅の花は終わりかけ、路地植えの梅は今が盛りと薫風もさやかに、木蓮の綿帽子も一層膨らみを増す…五輪組織委会長の顛末…会長森は珍しく自らの言動に対して直接非を認めて謝罪したにも関わらず赦されず、しかし女性である新会長橋本は過去のセクハラ疑惑に反省の弁を述べれば不問に付されると云う、社会的扱いに対する差別は公的な男性差別のような気もするし、しかも此の傾向は日本国内だけでなく、国際社会と呼ばれる一部欧米にも共通する差別はいかがなものか…仮に男性候補者にセクハラ疑惑があれば会長就任はなかった事が蓋然的に言明できるから、男性差別の露呈と云わざるを得ない…普段は男性による女性へのセクハラを一刀両断に糾弾する野党の女性議員もなぜか新会長橋本の過去に関してはだんまりを決め込む露骨な男性差別ぶりである…自分の意識に都合のいい時だけ民主主義や人権を振り立てて相手を弾劾するくせに都合が悪いとひっこめるご都合民主主義だから、野党のリベラル意識が見透かされて馬鹿にされるのだが、野党が嘲笑されるだけならまだしも、其れによって民主主義自体が思想的に毀損されるから、リベラル派のご都合民主主義は保守派による民主主義への攻撃よりたちが悪いからいい加減にしろと云いたくなる。ただし森氏個人に対しては、過去の政治的思想の吐露において民主国家を否定する言辞を弄して憚らぬし、其の事についても、世間を騒がせた事については誤ったが発言内容自体を謝罪撤回した訳ではないから此度の失脚は遅きに失したと思っている。
加えて自分が気になるのが、昨今のコロナによる女性自殺者の増加を問題視する報道…其れ自体は確かに問題だから注目して対策を講じるべきと思うが、此の報道に際してしれっと巧みに男性自殺者のデータを削除して女性自殺者の推移グラフだけを見せるやり方に明らかに男性の命を女性よりも軽視しているとしか考えられない男性差別がメディアを中心に蔓延っている…なぜなら、男性自殺者はどの年でも基本的に女性自殺者よりも圧倒的に多いのが現状だからだ。男女両方の自殺者推移グラフを見せれば、明らかに男性の方が自殺者が多いのだから、基本的には両性共に自殺者を問題視すべきと云えども、此の明らかな性別による結果の差は、男性特有の問題に着目せざるを得ない事を開示するだろう。男性自殺者のデータをわざわざ隠すのは、女性自殺者のみを問題視したいと云う恣意的意図の現れであって、其の根底には、男性の命を女性よりも価値が低いとみなしている男性差別意識が、多様性だの男女平等だのを謳うメディアの偽善があると云う解釈が成り立つ。仮に女性自殺者が男性よりも毎年圧倒的に多い推移グラフであったならマスコミは、日本社会は女性の命を軽視しているとしてとっくに問題視して取り上げていただろうに、現実は逆で、男性自殺者が毎年圧倒的に多いが、しかし自殺者自体が問題になっても、男性自殺者が女性自殺者よりも多いと云う視点から問題視される事がないのは、メディアの男性差別を浮き彫りにする。こうした女尊男卑の考えは実は男尊女卑と表裏一体をなすのがジェンダー論の一般論だろうに…そうした洞察を欠いて漠然と世に蔓延る特異的な女尊男卑の風潮に流されて男女平等と云う理論を貫き通せないからリベラルを謳うメディアは偽善者として虚仮にされるのがまだ分からないのだろうか。実際、男尊女卑社会で特権を享受する男性はごく少数であり、他の大部分の男性は特権もなく奴隷のように酷使されて一生を終わる…其の最たる状況が戦争であり、国家主義に内蔵された男尊女卑は女尊男卑と相まって男性を戦場に駆り立てて死屍累々となった惨い死を遂げさせられた…当然、男尊女卑社会では全ての女性が卑しめられたわけでもなく特権を享受する女性もごく少数いただろう…要は差別社会において性差は見かけに過ぎず、人間自体が差別されるから、帰着すべきは人権と云う事にはなる…
 女性差別をなくそうとするメディアの単眼的問題意識が男性差別を助長しメディアの正当性を無自覚に自ら毀損している事は、トランプ現象と同じ構造だろう。マイノリティ差別をなくそうとする単眼的政策の結果、マイノリティ差別社会においても基本的に特権を享受していなかった大部分の白人層を更に公的に差別する形で不利益を押し付けた結果不満を爆発させたのが、メディアの正当性に嚙み付いたトランプ現象なのだから。男尊女卑の中で長い間男性は特権を享受してきたのだから、男女平等の過渡期である今、女尊男卑の傾向を男性は我慢すべきとの言説も平気で蔓延るが、先述のように男尊女卑の世で特権を享受した男性は少数で、しかもそうした特権を享受した者は今や現役世代を退いた老人たちであり、大部分の現役世代の男性は男女平等社会の下で男性の特権を享受しないまま女尊男卑の不利益や差別の我慢を強いられるのだから、先の言説は現実を見ない不当な抑圧に加担しており人権思想からすれば誤りである。
女性差別の残滓は解消すべきだが、其の一方で、自分で選んで男性として生まれた訳でもなくたまたま男性である事を理由に不当な差別を受けているが、其の事に異議を訴えようものなら男のくせにと云った言説で抑圧を忍耐と云う美談で糊塗されて社会的に異議申し立てを抹殺されるのであれば今や男性は社会的弱者である。差別構造と云うのは、そもそも、異議を訴える事自体が反道徳的価値観として内面に組み込まれて差別を受領させられる意識にあったし、此れはかつて蔓延った女性差別やカースト制、儒教的分限意識の基本であろう…そうであれば社会による内的な差別意識の植え付けを「言い訳」にせず、かつての部落解放運動や女性差別解放運動の闘士の方々のように、不当な抑圧に悩む男性も、自らが社会的弱者である事にひるまず訴えるしかないのだろう…ただし、社会から弱者であると措定されて差別されてきた被差別部落や女性一般であれば社会的弱者としての現実と自己意識が合致して差別に抗する意識が生まれやすいのかもしれないが…男性の場合、社会から強者であると措定されながらも、そして強者と措定される事自体によって、差別に裏打ちされたプライドを醸成されながら其の命が軽んじられ不利益と我慢を強いられてきた歴史があるから、簡単に自らを社会的弱者と位置付けるメンタリティに至る事が難しいと云う特有の問題があるのだろう…此れも件の「言い訳」と云われればそれまでだが…かつて、女性差別に反対する女性の敵が男性だけでなく大部分の女性であったように、男性差別に反対する男性の敵が女性だけでなく大部分の男性であるはずだから、問題は根深い…その辺の方策は最新のジェンダー論が戦略的に取り扱っているはずだし、そうでないならジェンダー論自体が女尊男卑に囚われただけでなく同時に男尊女卑からも脱却できないお粗末な理論であったと云う事になる。
かつてNHKで、少子高齢化で行き詰った日本社会の活路を人工知能AIに聞くと云うNHKスペシャルがあって…スタジオの論者たちは、女性活躍だの男女平等だの子育て世代への支援だのと云ったよくある意見を垂れ流していたが…AIは、「40代~50代の独身男性」にこそ着目して対策すべき、と云う結論を出してスタジオを唖然とさせていたと記憶する…結局番組では、AIは人間には思いつかない結論に行き着く事がある、と云う事でAIの結論を無視して、何事もなかったかのように女性に着目した議論に戻っていたが、この辺りも女尊男卑の傾向が露呈していたと記憶する…おそらくAIの見解は正しいと思われる…なぜなら、此の年代の独身男性は恐らく其の多くが非正規雇用で奴隷のように搾取されながらこき使われては文句も云えず、文句を云う権利さえも社会的に否定された状態で社会に使い捨てにされがちだから女性からも相手にされず結婚も望めない状況を社会が見て見ぬふりして放置しているのが、少子高齢化の大きな要因であるのは間違いないからだ。自死に追いやられる男性が女性より多い原因は、男性自殺者が女性の其れよりも多い事実や件の年代の男性の不遇がメディアと共に社会に無視される事からうかがえる、男性差別が内面化した日本社会、あるいは国際社会(!)とやらの意識構造にある。此れが解決しない限り、女性差別の真の解決も遠いだろう。
少なくともリベラルを気取るメディアは、たかだか欧米を国際社会と同致して無条件に正当化しながら彼らのご都合民主主義(自分に都合のいい時や自分に関係ない時に限って民主主義を振りかざす)に踊らされずに、事実と論理に基づいて反論すべき時は反論する気骨を持ってもらいたいものだ。実際のところ、性差別の問題は労働問題や職業差別、ナショナリズムや生命至上主義と相互作用して解読は容易でない中、上記の議論も、其の全体像さえ素描できていないと自戒する。

次回は3月14日に発表します。

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