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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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バッドモードに突入…

鉢植えの白梅…週末恒例の水やりをしていると、花を終え新芽が旺盛な葉陰に小さな実がなっており…ささやかな幸せに浸るが…全体的にバッドモードであるのは間違いない…狂ったように宇多田を聴いているが…ひょっとしたら自分が聴く度にウクライナでの殺戮が回を増しているのだろうかと云う疑念と不安はどうしても拭えない…宇多田の新譜を買ったのはロシアによるウクライナ侵攻開始を確認した後だった…戦争や経済制裁の応酬の影響で物資が不足しCDが生産できなくなって宇多田が入手できないのは困ると判断して、其れに、もう既に侵攻が既成事実化しているので宇多田を此の戦禍の原因とするのは論理的に誤謬だろうと云う常識もあるから、侵攻三日後にバッドモードを購入したのであった…しかし、買いはしたものの中味を聴かなければ宇多田の楽曲の呪的能力は解放されまい、とも考え、しばらく聴くのは控えておこうと思っていたが購入翌日には何度も何度も微に入り細に渡って聴き込むと云う済し崩し的状況は取り返しがつかないと分かっていても覆水盆に返らず…作品の出来は良い意味で予想通り、ファントームや初恋を超えるものではなく、逆に其れらを超えて更にもう一歩此の宇宙の核心に迫られたらリスナー側が悶絶して生きていけないから助かったと云うべきで、気負いなく楽しめるポップな仕上がりではあるものの、今となっては其れが宇多田の呪へと誘い込む甘い罠のようにも勘ぐってしまう…此れまで培ってきた作曲、アレンジ能力を手堅く発揮して、過去に縋らず未来に期待しない厳然たる今のみを生きる姿勢に貫かれて、どうしようもなく行き詰った科学技術文明と政治の世界を肯定的に生き抜く身近な情愛と公的勇気を、業の深い肉声で慈悲深く罪深く、情念の深みのみが奥へ奥へと突き抜けるが流されることが無い実存的抑制が社会性さえも伴って的確に歌う…配置された音の粒立ち、音色、音量、其の相互関係、全てが、聞けば聞くほど此れ以外にないと云う選択である事を確認させられる…こうした作品の出来と当然関係するが通常の関係ではないような、存在者と存在との関係を問う存在論のような形で宇多田の楽曲に関係/無関係する呪は、其れを聴く人一般と云うよりも、其れを聴く小生個人のみを狙い撃ちする…其れは、小生の現在の生活を成立させている基礎的条件を小生が思いもよらない方法で崩壊させるはずだが…まさか其れが戦争であるとはまさに思いもしなかった…確かに此度の戦争は小生の基礎的条件を将来的に確実に破綻させるが、其れにしては他の人への文字通り破壊的影響が大きすぎるではないか、小生1人を狙い撃ちするのであれば専ら小生個人に帰する基礎的条件を狙い撃ちで破壊させればよいのに、民主世界全体を混乱に陥れる方法で小生個人を破綻させなくてもよいではないか…確かに民主世界の基礎的条件の破壊は小生個人に係る根本的な基礎的条件でもあり、尚且つ小生が全く思いもつかない方面からの崩落ではあるから、宇多田の呪的能力の根源性に改めて恐れ入る次第…此度のウクライナでの悲惨事は…簡単な線形方程式を解くように確実に小生の今の暮らしの基礎的条件を破綻させるのがまざまざと見えている…そして此の苦難を召還したのも宇多田であれば、此の苦難に立ち向かうための論理的根拠と元気を与えてくれるのも宇多田と云うジレンマに苦しんでいる暇もないのであろう…限られた時間を精一杯使わねば…実在論から内面=場の形成までは論証できたが…まだまだ主体や意識には程遠く、焦って机にかじりついても碌な事は書けず時間ばかりかかる熟慮と云う正攻法を要するから…遅々として進まずもどかしい。

次回は4月10日です。

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