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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「duncan browne/give me take you(1968)vicp-61245 」2009年1月11日 先負 曇鈍

左の日本焼物紀行の中に、「弘法市紀行~命日が縁日になった男~」をUPしました。今すぐクリックしてくだされ。

 さて、日曜日午前1時過ぎ、犬のように酒を舐めながら、音は消してカウントダウンTVを血走った眼でねめつけるようにして漫然と憤然と見続けるのは、人生における軽薄なる退廃の極みであろう。取り返しのつかぬ無駄な時間である。嘆いても後の祭りであった。たとえ猪口が備前、徳利も備前(義父の御手製)、酒も備前の、雄町の泉、であっても。

 さておき、ダンカン・ブラウンである。英国。7年前ぐらいだろうか、そのジャケットからプログレだろうと思って購入した、いわゆるジャケ買いであるが、中味はクラシカルな英国フォーク、トラッドを色濃く基調にした物寂しいポップ作品であった。ギターがポロポロ鳴り、おとなしげな男が小さく呟いている。全く情報を得てない中で買ったものであるが、この人物、70年代終りの英国モダンポップ期においてロキシーミュージックや10CC、XTCといった奇怪なバンドに比肩し得た、メトロというデュオバンドの片割れであった。当時の、短命をよしとしたパンクバンドの例のように、メトロもまた短命な、しかし星の一閃のごとき儚くも巧妙な音楽的理知を尖らせたバンドであった。実は今、初めて通して最後まで聞いている。当てがはずれ、更にはこの当時フォーク勢に偏狭な敵意を抱いていた事情から、初めの1分で停止してしまったのである。本当はエレクトリックプルーンズかトロッグズといった、サイケガレージについていま少し深める予定であったが、サイケサイケと自分でも五月蝿く感じ始めたので、当てずっぽうで手に取った紙ジャケCDなのである。
 それにしても、何かそれについて書かねばならないという強制の中で改めてじっくり聞くと、今となっては浸みるものがある。世界各地に民族歌謡はあるが、その多くが祭りで人を煽るかどこか晴れがましく喜びを歌い上げるか、あるいは情念を慟哭するかではなかろうか。しかし英国あるいはアイルランドフォークの、基本的に元気を否定しつくした、あるいは否定と言う元気からそっと逃れるようにして侘び枯れた、低調な、寂しい繊細な感じは、単に英国だから、アイルランドだから、では済ますべきではなかろう、なぜなら良くも悪くもロックの血の3割ぐらいには成りえたのだから。いかんせんジョイスとベケットの国々なのである。油断はならない。少なくとも、70年代日本フォークのような、音楽的政治的厚かましさの薄汚さ、朴訥を装った狡猾、権力の犬に過ぎぬ誇りの無い野蛮さは、英国フォークには無いだろう。近々、吉田拓郎、松山千春、泉谷しげる、岡林信康ら、特に吉田拓郎を、彼がジャニーズのキンキキッズと関わり出した事に端を発した歴史的事件を掘り出すことで全否定批判する予定である。今しばらくお待ちあれ。なお、このアルバムをこうして聞くと、ドノヴァンは言うに及ばず、ブライアン・ウイルソンもヴァン・ダイク・パークスも唐突に噴火したのではなかった事が分かる。いずれのナンバーも、出来損ないの、田舎くさい賛美歌のように聞こえるが、本当はその逆なのだろう、賛美歌が、キリストをイコンとしたヨーロッパ民族のポップスなのである。8番目の、オン・ザ・ボムサイドはアレンジが少し凝ってて、サイケに吸収される以前のソフトロックの佳曲である。

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