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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「arnold schonberg/gurre-lieder(1911)rca no.22」 2009年12月6日 藻屑

 
 どこにでも売っている日本ワイン、十勝のトカップ赤で胃を焼きながら、執筆。
 身分が変わった、地位が変わった、名前が、住所が、職が、財が、生態が変わった、といった、傍目にも分かりやすい外的変化など今のところ見当たらないが、移り気なまま、ちょっとしたきっかけもあったり無かったりなのに、心の機微が過剰に増幅され、痛ましく胸苦しい内的生活が強まる日々である。
 いつなんどきでも、ランバダのことを思っていよう、決して忘れまいと誓ったあの日から10年か20年たった現在である。無論、今でも常に思っている。あの、トロピカルなビーチのテラス的なパラソル的なところで、小麦色に焼けたカリブ海風の男女が、恥ずかしげも無く腰すり合わせ、女性の場合などは切れ上がった小股のまさに肝要な箇所が見えかねぬほど特徴的に短いスカートを激しくひらひらさせて小麦色の長い生足が汗と共にびちびち波打たんばかりの激しくも卑猥な踊りに、甘美でトレンディなあの音楽が絡まる情念芸能、ランバダの流行とその映像は、1990年代後半だったか、衝撃的であった。そして流行は去り、あっという間にランバダが少なくともこの国で話題になることは年内に終了していたが、忘れられようかあのトロピカルバブリーな上り調子を。
 自分だけは、ランバダをいつまでも顕彰しようと思っている。何事につけ自分の認識や感覚が信じられぬし信じて行動しても碌な事にならない小生であっても、小生がランバダを覚えているか確認するために生まれてきた男が、不意に背後から迫り、耳元で、「ランバダの事よもや忘れてはいないだろうな」と低く問うてきたとしても、冷静に、「ああ、覚えているとも」と答える事ができる自信がある。
 広島駅前福屋の地下入口前には、よく、沖縄物産店や南米民族音楽の楽団が催すのであるが、最近、また南米民族楽団が、ケーナなどで哀愁のメロディを奏でてコンドル飛ばしていた。そして曲が替わり、いつものことなので素通りした小生の背中に、何と、ランバダのあの音楽が浴びせかけられたのであった。引き返そうか、と思ったが心が解かれてしまって自分がどうなるか分からなかったので、次第に間遠になるランバダのあの音楽を背中で聞き続けたのだった。いつも心の片隅で思ってはいたが、久方ぶりに耳で聞くと、自分が流れてしまうように骨肉がへろへろに甘露煮されておかしくなりそうだ。
 本当いうと、思念の中は牡蠣殻のことで一杯だ。牡蠣殻ループタイである。眠りの中で意識できぬ言葉も牡蠣殻で熟したのだろうか、朝4時頃目が覚めてしまい、自分でも制御出来ぬほど熱く滾る思いは、牡蠣殻だ、牡蠣殻なんだ、牡蠣殻だけなんだ、もう牡蠣殻だ、牡蠣殻しかない、牡蠣殻のみ、兎に角牡蠣殻だ、牡蠣殻なんだよ!、と怒りにも似た欲望に苛まれる始末である。もう一刻も早く牡蠣殻ループタイを作るしかない、そうしないととにかく駄目だ、これ以上思いがつのるとおかしくなってしまう、という切実なうずきで朝から気持ちが悪かった。
 本日、ホームセンターで、牡蠣殻ループタイ作製に必要と思われる部品を購入。まず紐は通常のループタイにありがちな正絹ではなく、ここは野卑な藁縄だろうということで、園芸コーナーで藁縄とシュロ縄を購入。小生好みにぶっとくするために、自分でその縄をさらに三つ編みにして野太さを確保する予定だ。ループタイ用の金具というのも手芸店で売っているらしいが手芸店探している心の余裕ないし太い縄が通るとも思われないので、今回の目的に適した金具を探してみる。ホース固定用のワッカ状のステンレス部品発見、ネジを締めればワッカの径が変えられるので荒縄通すには良さそうだ。あとはこの金具を牡蠣殻に如何に固定するかであるが、ネジ釘で止めるには殻割れなどのリスクが高そうだし殻の厚さが心配なので万能接着剤と、ステンレス接着用の半田こてとステンレス用半田を購入。半田と接着剤でうまくいくのだろうか、素人ながらやりたい放題にやる予定。
 スーパーには殻付き牡蠣が無かったので、いっそ通販で殻付き牡蠣お取り寄せしようか、と、金にまかせて手段選らばぬ急迫した事態となったが、牡蠣の大きさが明瞭でなく、やはり自分の目で選ぶ必要ありと落ち着く。来週、海沿いの牡蠣打ち場の探索および駅中の牡蠣専門小料理屋で生牡蠣所望し身を食した後殻を得るつもりだ。しばしの我慢だ。目に適った牡蠣殻さえあれば、いつでも牡蠣殻ループタイが作れる…。憑かれた心の疼きよ静まれ。
 かごバッグも熱心に探索中。あけびや山葡萄のつるをぐいぐい編みこんだ乱れ編みの無造作極まりない荒々しくて仕方ない造形のかごバッグも激しく所望している。近所の電柱の根元のゴミ捨て場に、回収されなかったゴミが、「なんか違うから回収しません」という貼り紙と共に残されていたが、その中に、かごのバスケット発見。なぜ缶、ビンの日に籐製のかごを出すのか分からないが、かごに対しても疼いていたので目先の欲望を黙らすため取り合えず持って返ろうかと手にして、中を開けると、いかにもサンドイッチ入れそうな、赤白のチェック布の内貼りが施されていた。夜、街灯の下で一人、怒りが急騰、かごに布貼りなどいらぬ、と、新しい自分の数寄が芽生えた瞬間であった。結局拾わずに元に戻した。
 小生の中で2週間ほど滞在して怒涛のように過ぎ去った、ナチュラルインテリアファッション界およびナチュラル雑誌への傾倒に関する顛末も、いずれ詳細に語りたいものだ。
 それはそうと、まだ、毎日、0.1mmほどの肌色の虫が小生の書斎でうじゃうじゃ発生しており、ティッシュで拭う、という生活が続いている。シャープペンシルとして使ってないが何に使っているのかは公言できない小生のとあるシャープペンシルに、毎日、職から帰ってくると、肌色の虫が疎らながら多数たかっている。原稿用紙や机にもうようよしていることがある。小生の体液目当てなのは歴然。賃貸アパートでバルサン炊くのも大仰だし、ティッシュで拭うよりほか為す術が無い小生。いつまで拭えばいいのだろうか。細君が調べた結果、茶立て虫かもしれないというが、小生が茶人だから発生するのだろうか。お願いだからやめて欲しい、0.1mmの肌色の虫どもよ。

 さてシェーンベルクのグレの歌である。1回ザッパ、2回他者、という順番でいえば今回はザッパのアルバムを選ばなければならないが、もう止めにしたい。これまではザッパの60~70年代初期の作品を軸にサイケデリアの何たるかをかいつまんで来たが、70年代中期以降のザッパの諸作品はサイケデリアとは異なる論法なり新しい視座(聴座)が必要であり、より他の音楽との因縁あるいは絶縁が重要になる。これまでのような定型的論じ方では捉えられぬ、より混沌とした道行きとなるであろうからである。
 シェーンベルクは現代音楽(コンテンポラリー・ミュージック)における理論探求の魁の一つである十二音音階で名を成したが、これはまだ十二音技法を始める前である。したがって作風は後期ロマン派の、しかも最も爛熟した技法の高め合いのくすぶりから何が出てきてもおかしくない逼迫した状況なのである。リスト後期の内省的なピアノ曲(「巡礼の年」など)では、聞きようによっては、現代音楽の発祥の一つであるドビュッシー音階のようにも思えてしまうこともあり、ロマン派というのも安易に聞き逃せないと指摘したいが、このグレの歌はそうした突破が芽生える寸前で結局芽生えなかったくすぶりの絶頂のような、確かにまだ道は開けない絶望的な状況であるところで、ちょっと油断すれば脱線して何かになりそうなほど熟しきっているのに、むしろ我慢してそこに居続けたがゆえの息苦しい新しさが聴こえないだろうか。小生はグレの歌、マーラーとは別の意味で相当好んでいる。歌われている物語は他愛無く問題とするにあたらないかもしれないが(自分は必ずしもそうは思わないが、確か、貴族の男のために死んだ召使の女性が、あの世から、この貴族男を守る、といった男にとって都合のよい話だった)、音楽は、そこそこ苦み走っていながらどよどよと豊かだ。
 現代音楽の存在そのものともいえる理論的概念的仕事の意義については、詳論をさく必要あり、ここでは語らないこととする。

ポール アルトハウス :テノール
ジャネット ヴリーランド :ソプラノ
ローズ ハンプトン :メゾソプラノ
アプラーシャ ロボフスキー バス
ロバート ベッツ :テノール
ベンジャミン デ ローチェ :語り手
プリンストン グリー クラブ
フォートナリー クラブ
メンデルスゾーン クラブ
フィラデルフィア管弦楽団
レオポルド ストコフスキー:指揮
アルノルト シェーンベルク :作曲

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