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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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らっきょう奮戦記

概して市販の漬物の不味さに対して日常的に辟易しており…京都の比叡山の麓の、小ぶりのナスを粕漬にしたか白味噌漬けにしたか忘れたが其の漬物が上手そうに思えて取り寄せてみたが砂糖過多で期待外れであり…ならばと糠漬けに挑戦しようと、しかし素人なので気が引けて無印の糠漬けセットに頼ったのが根本的な間違いだったのか、冷蔵庫の中で出来ると云う触れ込みだが、半年以上たっても乳酸発酵の滋味深味が全く出ず、ただの塩が効いた浅漬けレベルの単調さから脱却できず、糠漬け名人によるとタンパク質として煮干しなど入れるとよいと仰るので、煮干しだと腐敗が怖いので削り節を混入させてみたものの、発酵促進には至らず、単に削り節の匂いが添加されただけで発酵に関わる相互作用を起こさなかったので此れも期待外れ、数日おきに手でかき混ぜる苦労に耐え切れず丸ごと廃却…其れ以降、自分で作る簡単な浅漬けに甘んじるが其れにも飽きが来て…ふと、市販のらっきょうもまた不味い事を思い出し、もっとらっきょうの核心から生気が込み上がるような本物のらっきょうを食いたい、らっきょう漬けくらいなら作れるかしらんと、旬のらっきょうがスーパーに出回るのをずっと待ち構えていた日々が続いた。そしていよいよ其の時が来た。土付きは下処理が面倒なので洗いらっきょう1kg購入し…後日、其れでも十分らっきょうの実力に悶絶する事になるから土付きの真に新鮮な奴だと自分には手に負えないので結果オーライだと安堵する事になるが…そしてネットで簡単レシピを参照し、塩漬けと酢漬けの二種をこしらえる。ところが、予想外の事に、物凄いらっきょう自身の臭気が台所に充満し…瓶の口にシールテープを巻くなどの措置を施したが全く其の噎せ返る強烈な、しかしまぎれもない新鮮な、生きている臭気を密閉する事能わず…途方に暮れ、やり方がまずかったのかと、どこの馬の骨やも知れぬ料理研究家が無責任に提案するお手軽簡単レシピではなく、JA鳥取の公式ページで正規のらっきょう漬けの方法を学ぶと…らっきょうを沸騰した湯で10秒ゆでる工程がある。此れに、旺盛ならっきょうの生気を人間向けに鎮静化させる効果があり、此れを怠ったがために尋常でない臭気が発生するのかしらんと仮定し、一旦漬けたらっきょうの漬け汁を全て洗い流して10秒茹でてゼロからやり直すも…1日くらいは臭気が収まり、胸を撫で下ろしたのも束の間、ほどなくして臭気はビンビンに復活して効果なしと云う結論。容器の密閉性を上げるために新たに容器を買って試すが、其れでも効果ない。最終的には、らっきょうの保存容器をクーラーボックスに入れると臭気は部屋に漏れない事が分かり、場所を取り、インテリアを台無しにするので細君からは白眼視されつつも、そういう事になっている。何度もひっくり返したり入れ替えたり漬け汁の配合を変えたりとてんやわんやであったが、らっきょう自身は、そんな事にいささかも動じる事もなく自らに備わった鮮烈な風味を温存しており、自分が思い描いていた期待通りに、齧ると胸の奥に炎が着火するくらい激烈なる酢漬けに仕上がり、満足である。時間が経てば其れなりにこなれてこよう。塩漬けの方は、本来は塩水に漬けて其のまま乳酸発酵させるべきものを、あまりの臭気に恐れおののいて一旦煮沸した結果、発酵は止まったので単なる塩漬けではあるが、此れもまた素直にらっきょうの清新な激烈が露呈しており、キレのいい純米吟醸に合う。来年は臭気にうろたえずに、塩漬け+乳酸発酵に挑戦したい。

次回は7月16日です。

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