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 ロック史を体系的議論から解き放ちながら、サイケデリアの土着性とハードロックの非継承性を論ずる。主要1000タイトル、20年計画、週1回更新のプログ形式。
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「ハラー」 2008年6月14日 先負 便秘

 身包み剥がされた誇り高い黒い民が、親と子、夫と妻、友人や同じ部族、習慣、言葉から引き離されて、繰り返すが素裸で、後ろ手に縛られ、両端が又になったところに自分とは異族の黒人を括りつけられて、無論のように自分の首も括られて、締まった足首を噛む鎖には砲丸を引き摺り引き摺り、内陸の村から、海岸まで、歩かされる。辿り着く前にその3割の人が斃れるだろう。その後ガレー船でマッチ箱の中のマッチのように鮨詰めにされ、疫病や相次ぐ拷問で圧死するだろう。

 呆れるほど傲慢極まりない白人どもが、先住民がいるにも関わらず新大陸と騒ぎその先住民に何の断りも無く移住するばかりか、侵略殺戮繰り返すアメリカ大陸に、黒い民らが到着後は、鎖で戒められたまま台の上に乗せられ、つまり市場で、売買される。
  
 蒸気機関は無くとも生活の充足した、歌と踊りと音楽と牧畜の民を奴隷貿易という、美名にすらならぬ人種ホロコーストで蹂躙する白人の残虐性は、人権意識が未発達だったからと、歴史をさも自然的対象のように見なしてその恣意的な歴史観に自己責任を転嫁できる類ではないだろう。いつの時代でも肉親が鞭打たれ逆さ吊られ焼き鏝当てられ舌引き抜かれて殺されれば憤りと激しい悲しみがあり、それを以ってしても白人の嗜虐を排撃できぬとならば人間に言葉は要らない。

 私たちは生者のことよりも死者のことを思い続けなければならない、と気落ちしながらも強靭に、その思いへ没入する夜想である。

人生一生、通夜である。

 サイケデリアを語る前に、矢張り、黒い人びとの、ブルースの原初「ハラー」、言葉に成らぬ嗚咽、嘆きの声が、指先を血まみれにする南部の綿花畑から聞こえてきたのだから仕様が無い。畑の脇のハナミズキの木には、後ろ手に縛られその結び目から吊るされた裸の黒人男性から、流れにくい血が滴り落ちて遺体に陰の実質を作る。まだまだ、左の、顔がそれぞれ異なる当たり前が奇蹟の様にはっきりとある男たちの音楽からは遠い。
「ハラー、ハラー・・・」

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